建物の寿命

 建築物にもそれぞれ人間と同じように寿命というものがあります。これを耐用年限と称しています。民法上では木造は二十年、鉄筋コンクリートは六十年を耐用年限としていますが、実際はこれより長持ちします。
 この耐用年限を専門的には構造耐用年限と経済耐用年限に分けて考えます。構造耐用年限とはその建物が構造上に耐え得る年限で、経済耐用年限とは建物の使われ方や流行その他、社会経済上の理由、例えば現在五階建ての建物ですが、地価の値上がり、交通の便などから考えて三十階ぐらいにした方がよいとか、あるいは各種の設備が室が小さくて入らなくなってしまったなどということです。現代では前者よりはむしろ後者の経済耐用年限を一般的な耐用年限としていることが多い。しかし、ここで我々が心配するのは前者の構造耐用年限のほうです。

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 建物を設計する場合には、あらかじめどの程度を耐用年限とすべきかを考えて建てるものですが、専門家の間では木造で三十年、鉄筋コンクリートで七十年程度とするのが普通です。
 では木造では三十年、鉄筋コンクリートでは七十年しか持たないのかというとそうでもない、建物の立地条件、例えば海岸に近いのか、風は強いところなのか、気候条件はどうなのか、地盤はどうなっているのかなどというようなことによっても多少変わってきます。木造建築などではもうすでに五百年以上も建っている建物もあります。
 しかし、戦後建てられた建物は二十年たらずで構造上の耐用年限に来ているものもあります。そこでこの耐用年限に来ているかどうかを調べるのにはどうすればよいかということになります。一般的にこのような場合、建物の財力度調査ということをやります。鉄筋コンクリートの場合は、その測定がはなはだ難しいのですが、やはり鉄筋の腐食度を測るのが一番良い方法です。しかし実際には、一部だけ測っても意味がないし、全部測るとなると建物を壊さなければならないので不可能に近くなります。その点木造の場合であると比較的簡単です。土台の腐食度合い、柱の傾斜度、基礎の状態、梁、小屋組み、屋根の状態などと一つ一つ目で測定し、全体として財力度がどの程度あるものかおおよそのことは見当がつきます。これを専門的には点数で表すようにしていますが、ただし木造の場合は財力変の点数が低く出たからといってただちに心配する必要もありません。土台が悪ければ土台を取り替えればよい。柱が悪ければ柱を取り替えればよい。そうすれば財力度点数はまた上がり、当然のことながら耐用年数もさらに延びることになるのです。鉄筋コンクリートの場合は部材を取り替えることができないのでその点木造のほうが便利です。

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