一方向にしか向いていない筋かいは役に立たない

 建物にはかならず筋かいというものが入っています。木造の場合であると、柱と柱の間に、斜めに一本だけ、柱の厚さの三分の一ぐらいのものが入っているのが普通です。鉄骨の建物ではこれが鉄筋で×印のようになって入っています。
 筋かいは建築基準法という法律の中でかならず入れることを義務づけているので、入っていない建物はほとんどない。よほど手抜きのはげしい住宅で、まれに見ることもありますが、このような例は数少ない。
 この筋かいのことですが、筋かいというものは、建物に対して横からの力が加わった場合、例えば地震や、風で受ける力に対して建物がこわれないように入れておくものです。
 たとえば、底のないみかん箱などをこわすときに、上からつぶそうとしてもなかなかつぶれないが、横から力を加えてやるとかんたんにつぶれてしまうことを経験したことがあるでしょう。しかし、このみかん箱に底がついていたり、ふたがついていたりすると、こんどはなかなかつぶれない。筋かいはこのみかん箱の底やふたと同じ役目をはたすものです。

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 鉄筋コンクリートの建造物では、壁そのものが、このみかん箱の底やふたの役目をはたすのですが、木造や鉄骨の建物では、壁そのものに力をかけるようにすると丈夫な壁を作らねばならないことになるため簡単な壁ですませてしまいます。
 簡単な壁であると、横からの力に対してすぐこわれてしまうのでさきに述べた筋かいを入れておくのです。しかし、この筋かいですが、一方向にだけ向いていたのでは反対方向から加わった力に対してはまったく無抵抗の状態です。何本筋かいを入れても同じことです。筋かいは多いにこしたことはないが、やはり両方からの力に対して均等に耐え得るものでなければならない。均等に耐え得るためには、筋かいをすべての方向に向かって働くようにしておくことが大切です。

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