壁の色を選ぶときは薄目の色を選ぶ

 建物の色をきめるということは、なかなか難しいことの一つです。すべてがペンキかなにかの塗料で仕上げられるのならば、これは比較的簡単です。しかし、すべてをペンキで仕上げるというのは日本の住宅ではあまり考えられません。アメリカやヨーロッパの建築ではよく見られますが、日本の建築の場合は、昔からなるべく自然のままの材料を利用して、建物が自然に融け込むことをむねとしてきたのでそう簡単にその伝統はくずれません。この自然の材料そのものが持つ肌あい、これを専門家はマチエールなどと呼んでいますが、この肌あいを生かした建築の色彩を考えると難しくなるのです。

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 そのため建築の色をきめるのには建築を企画する段階、いわゆる設計の段階に入る前からその雰囲気を考え、材料を考えると同時にその肌あいと色なども考えておかなければならないのです。特に最近はこの肌あいがよいということで打ち放しのコンクリートで建物をつくることが流行っています。この打ち放しのコンクリートなどでは、いくら肌あいがよいからといっても、内装まで打ち放しにしたら住む人がたまったものではありません。毎日々々天井を向いても壁を見てもあの冷たいコンクリートとにらめっこをしていなければならない。とうとう我慢ができなくて、ペンキを塗ることになります。コンクリートにペンキを塗っても、あまり肌あいのよいものではありません。それにやはり一部に木や布が使ってあったりすると、この肌あいがなかなかうまく合うものではありません。これが肌あいの難しさです。
 それに材料色には、いくら色が豊富になったからといって、どんな色でもあるものではない。やはり色に限定があるので、すべての材料色の中から選んでもなかなか調子がとれないことがあります。色というものは、誰でも知識を持っています。
 だから誰でも注文がつけられ文句もつけられます。しかし、自分自身できめるとなると、なかなか難しいものです。それに、もう一つ素人に間違いやすいのは、色をきめるときに材料見本できめるときです。この材料見本というのは、ペンキであろうが木材、タイル何でも見本があります。ただし、これは大きな見本でなく、せいぜい三、四cmぐらいの見本です。この材料見本で色を決め、出来上がるとかならず選んだ人は、私はこんな色は選ばなかったと文句をいいます。そこで現場では選んでもらった色見本と合わせて見ます。やはり同じであったことを確認し、がっかりしてしいます。私も何度もこのようなことにあったことがあります。見本で見る色と実際の色は違って見えるのです。これは見本の色が小さいため間違うものです。色見本で色を選ぶときは彩度も明度も一段下げて選ぶのがよい。そうすれば間違いは少なくてすむ。少し薄いかなと思われるくらいが一番よいのです。

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