台風の多いところでは、屋根の形や構造に気をつける

 毎年秋になると台風シーズンがやって来ます。台風のあった次の目、私の知人が突然やって来て朝目がさめたら家の天井が無くなってしまったと青くなっています。
 私も台風で屋根が飛ばされた例はいくつか聞いて知っていましたが天井から上をそっくりそのまま飛ばされた例は初耳です。漫画によく出てくることではありますが、どうも信じられる話ではないので初めのうちはからかわれているのかと思っていました。
 その建物はブロック建築でしたが、屋根の掛かる小屋組部分は木造にしていたのです。これは屋根をコンクリートにしようと木造にしようと別に問題はないのですが、そのブロックと木造部分の接合部に問題があったのです。滅多にこのようなケースはないのですが、最も大切なコンクリートブロックと木造部分の接合部に手抜き工事をしたものです。コンクリートブロック工事の場合、この接合部にブロックが積み終わると同時にボルトを埋め込んでおき、セメントで固め、ボルトがブロックから離れないように固まってから木に穴を掘ったものを取り付けナットで締めつけるものです。この場合はこのボルトが初めから取り付けていなかったのです。
 この工法は基礎と土台を接合させる場合も同じです。家が土台ごと飛ばされてしまった例もありますが、これなどもアンカーボルトのつけ忘れである。アンカーボルトの場合もナットの締め忘れということはたびたび見られますが、アンカーボルトそのものの付け忘れというのは滅多にないものです。もちろんこのアンカーボルトを土台に付けることがうるさくいわれるようになったのは戦後のことであって、昔の建築物ではアンカーボルトなどというものはなかった。しかし、別に支障がなかったのは建材一つ一つの使っている材料が太く重く丈夫なものを使っていたのが、戦後は材料の不足からできるだけ細くてきゃしゃなものを使うようになったからでしょう。

スポンサーリンク

 台風のシーズンが近づいて来ると、毎年のことながら台風の通路となる地方は誠に脚気の毒なことです。日本の台風はそれでもまだアメリカの竜巻にくらべれば、台風の進路や、風の強さなどある程度予測できるのでまだよいといわねばなりません。
 この台風のことですが、台風の前日になると木造の住宅などでは実に涙ぐましい努力で、台風の方向を考えさかんに戸閉まりをしっかりして、台風で飛ばされて来たものがガラス窓にあたってもこわれないように板戸をし、さらに筋かえをするなどの補強が行われます。この補強を見ていると、ほとんどが風上の方向だけに注意を払っています。ところが風による被害というものは風上の方向が大きいことは事実ですが、かならずしも風上の方向だけが被害を受けるとはかぎらない。風向きの反対側すなわち風下の方向も意外と被害を受けやすいことを見落としてはいけないのです。台風の被害の最も典型的なタイプは、専門的な用語で分類すると、
 (1) 横力による被害
 (2) 吸引力による被害
 (3) 内圧力による被害
 に分けられます。(1)の横力による被害とは、台風の被害のうち最も多く見られる被害の例で、風の風圧を水平方向に横から建物が受けるもので、建物がこの風圧のために風下に向かって傾斜をきたしたり、あるいは倒壊するものである。吸引力による被害とは流動する空気のために建物の風下の側において真空の状態が生じ、このために建物の内部より外部に向かって作用する圧力を生じるものです。このため風下に当たる建物の部分は屋根を吹き上げられたり、あるいは窓、戸などを風下に向かって吸い取られてしまうなどの爆破現象を起こしてしまう。近年我が国でも超高層の建築物がどんどん建つようになってきました。この超高層建築物の風下にある建築物は少しの風でも大きな被害を受けることが実証されています。この現象も同じ理由によるものであり、前に高い建物があるから台風に安心だなどと思っているととんでもない間違いで高い建物の風下にある建物はかえって風圧が高くなり危険度が高いといわれています。これは、一旦さえぎられた風が風下に向かって建物を回り込んでつむじ風の現象を起こすためです。
 内圧力による被害というのは、風が窓や建物のすき間などから入って来た風が建物の内部に侵入し、建物の内部より外部に向かって圧力を加えるもので、このために屋根を吹き上げられたり、あるいは部屋の内部がふくれて壁が外部に向かってたわみを生じたり、技けてしまったりするもので、風通しのよい住宅などでの被害が最も大きい。以上のことからわかるように、台風のときには台風の風上方向を補強することも大切ですが、風下の方向の補強も決してわすれてはならないことの一つです。

住まい暮らし生活
地盤の悪い土地は高くつく/ 北向きに傾斜した土地は病人をつくる/ T字型道路の突き当たりの敷地/ 歩道橋の近くの敷地は危険/ 川や崖地の近くの敷地は危険/ 冬でも日当りを良くするための敷地の広さ/ 敷地を買う前に専門家に相談しましょう/ 部屋面積の二倍が建物の延べ床面積になる/ 家の広さはどれだけあればよいか/ 寝室は専用の方が安眠できる/ 収納スペースはできるだけ多く/ 主婦の労働を軽減するダイニングキッチン/ 狭い住宅に応接間は不要/ 老人の住まいは洋式に/ 基礎がしっかりしていないと床が浮く/ 床の換気は十分に/ 家庭用マンホールが壊れているものが多い/ 基礎と土台はよく繋いでおかないと危険/ 軒や庇の出が少ない建物は早くいたむ/ 地中に入る鉄筋は土に接すると早く腐食する/ 建物の寿命/ コンクリートの軒や庇は落ちやすい/ 陸屋根の雨漏りは簡単に修理できない/ 建物内に作った雨樋は建物を痛める/ 鎹は根元までしっかり打たないと役にたたない/ 一方向にしか向いていない筋かいは役に立たない/ 丈夫な方づえは家を壊す/ 金物を使わない建物は地震に弱い/ 鉄骨は正しい溶接をしていないと危険/ 通路に面して屋根の屋根の流れをつける場合は雪止めを付けないと危険/ 上の階にピアノなどの重い物を載せるのは危険/ 野縁の材料が悪いと天井が落ちるので危険/ 手すりの幅は子どもの頭より細くしないと危険/ 窓の格子は付けないににこしたことはない/ 輸入材は性質を調べて使わないと建物の痛みが早い/ 建具の手抜きは子どもがケガをする/ 畳は便所の床より汚れている/ 結露は仕上材で防げる/ 白い天井は子どもの知育を遅らせる/ 子供部屋には化粧壁を使わない方がよい/ 色壁は人間の感情を左右する/ 壁の色を選ぶときは薄目の色を選ぶ/ 室内の換気口はプロパンガスでは下に、都市ガスでは上に/ フードの正しい付け方/ 手抜き排気筒は事故のもと/ 風呂場での心臓麻痺はなぜ多い/ 蛍光灯は二本一緒につけないと目が疲れる/ 暗い部屋でテレビを見ると目が疲れるのはなぜ/ 配管ミスは病気を招く/ 排水が凍る場合はトラップの水も抜く/ 和風便器は痔や卒中の原因となる/ 陸屋根は天井高を高くしないと夏暑い/ 流しの隣りにコンロ台を置くのは危険/ 屋根の断熱材はどこに/ 騒音は住宅内でも防げるか/ 地震の時は間仕切り壁に近づかない/ 地震のときの逃げ場と危険な家具の配置/ 鉄筋コンクリートの建物は地震に強いか/ 台風や地震のときはガラス窓は危険/ 台風の多いところでは、屋根の形や構造に気をつける/

      copyrght(c).住まい暮らし生活.all rights reserved

スポンサーリンク