リビングキッチンのおかげで台所が日の目をみるようになった

 わが国にリビングキッチンのあらわれはじめたのは、たしか昭和二十四年頃からだったと思います。もともと、これはアメリカあたりにあった家の形式で、そのためこんな片仮名の名前がついているのだと思いますが、わが国にはやり出した訳は次の二点にあったのでしょう。
 (1) 戦後、広い家をたてるだけの経済的な余裕がなくなった結果、台所、食堂、居間を別々に設けることができなくなった。
 (2) 人手不足で、中流家庭に女中がおけなくなった結果、主婦が自分で台所仕事をするにはリビングキッチンの方が便利である。
 リビングキッチンも最初のうちはきわめて原始的で、居間の片側の壁にずらりと台所の流しや調理台をならべたりしたものです。今でも覚えていますが、その頃はまだステンレスが町に出廻らず、トタン板張りの流しや調瑶台が客の目に見える所にならんだ家などがよくあったものです。

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 たしかに便利で、女中のいない家ではこれに越したことはありませんが、調理台や流しには夜食のあとの汚れた皿などが一時積まれたりします。そんな時、突然の客がやってきて、それをじろじろ見られたのでは、何とも恥かしい。
 ある奥さんはまたこんなことをいっていました。
 「それに、お客様のおいでになる間は、御飯ごしらえができないんですの。だって、そうでしょう。目刺なんか焼いているところを見られちゃったら嫌ですもの。リビングキッチンて、便利なようで随分不便ですわ」
 そうこうしているうちに、リビングキッチンも段々いい形をとるようになり、居間と空気的にはつながっていても、台所部分だけをL形やU形に屈曲させ、客の目から台所を引き離すような工夫が巧みに行われるようになって現在に至っています。
 しかし、こういうリビングキッチンの歴史と並行して、見のがすことのできないのは、台所という部分が日の目を見るようになったことです。戦前、台所とは至って粗末な場所でした。暗い北側におかれ、流しも調理台も大工のぶっつけ仕事でつくられるのが普通でした。その台所が居間の一部に場所を与えられるようになって、見る見る高級化しました。現在、中流住宅においても流しや調理台にステンレスを用いないところはないくらいです。大工にいわせると、家の中で一番手間のかかるのが台所だそうです。リビングキチンそのものは仮に失敗だったとしても、台所のレベルを大きく引き上げた功績は忘れてはいけないと思います。

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