便所の造り

 便所の出入口は幅60cm程度でよく、これを開き戸にする場合もあり、片引き戸にする場合もある。開き戸のときは内開きを原則とします。外開きだと、いきなり開いた戸が廊下を行く人にぶつかる危険があるためです。
 わが国の便所には特別のスリッパをつかう習慣があります。昔は草履だったが、近頃はスリッパに変った。そのスリッパは戸の内側にならべておくが、内側の床が平らだと、開いた戸がスリッパにひっかかってしまいます。だから、内開き戸をつかう便所の床は外側の床より6cm程度低くしないといけない。もちろん、片引きの場合にはその必要がない。
 便所の戸にごく小さい窓をつけることがあります。窓といっても、摺りガラスをはめて中は見えないもので、これは中に電灯をつけ忘れたとき、すぐ気がつくためです。だから、窓はごく小さいもので、窓というより、ガラスをはめた孔といった方がいいかも知れない。

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 便所の照明は螢光灯によるより白熱灯によるのがよい。なぜといって、螢光灯にスイッチをいれてから灯のつくのに一寸時間がかかり、時計ではかればそれは一秒くらいのことなのだろうが、時にその一秒すら持てないような生理状態になることがあるからです。
 次は窓だが、これは窓をあけたとき、外から胸以上しか見えない程度に窓台を高くする。つまり、窓台は床上1.2m以上にするのがよい。
 そういう明りとりの窓と別に、むかしの家には掃出し窓というものが必ずあった。床上じかにある高さ15cmばかりの小窓で、床のごみをそこから掃き出す意味でこういう名がついていると思いますが、これは窓の高いため暗くなり勝ちな便所の床を明るくするための算段でもあったのでしょう。
 換気窓、つけるなら天井すれすれに室幅一杯、5cmほどの高さのスリットをつけるのだが、水洗便所ではなければならぬものではない。ただ、洗い出し式の和風便器では、すんだあとに臭気が多少残存するから、神経質な人はつけてもよいでしょう。洋風便器の場合は全然必要なし。
 次は床と腰壁。これには板、タイル、プラスティク板などが普通つかわれます。板をつかうときは、素木だと年月とともに汚れがひどくなり、不潔感をともなうから、透明ラッカーの類を塗って仕上げるべきでしょう。タイルは目地が段々よごれてくるから、目地幅をできるだけ狭くしたものがよい。プラスティク板としては、メラミン樹脂板が耐久力があっていい。ただし、床の下地がモルタル塗で仕上げてあるときは、これをじかにはることが無理だから、最初からその予定をたてておくべきです。
 床に張る30cm角のいわゆる床タイルには、いろいろな種類があります。塩化ビニールを原料としたものは大体いいと思うが、クロマン樹脂を主原料としたアスファルトタイルの類は気をつけた方がいいかも知れません。
 これはあるテレビスタジオできいた話ですが、そこは床一面にアスファルトタイルを敷きつめた。値段も安く、仕上りも綺麗で、非常に結果はよかったのだが、あるときそこで民謡の放送をすることになった。ただ民謡をうたわっただけでは面白くないと考えたプロデューサーは、本当の牛をそこへつれて来て、それらしい衣裳をきた歌手がそれをひいて歌うことになった。さて、大スタジオめ真中に牛が曳き出されて来ると、これは人間でもそんな衝動にかられるものだが、いきなりじゃあじゃあ小便をはじめた
 どうやら放送を終えたあと、気がつくと小便のあとがはっきり床に残ってしまった。床タイルが牛の小使に犯されたのです。同じように人間の小便がこの程度の床タイルをおかすかどうか、私は知らないのだが、こういう事実のあったことだけ報告しておきます。
 最後に、音の問題に一寸ふれておきます。水洗便所というものは、水を流すとき相当はっきりした音を出す。中の人の状態がはっきり判る音で、これが客のいる居間などに聞こえるのは面白くない。
 こういう音は極力ふせぎたいのですが、しかし、木造の建物ではまず無理です。これは特に小住宅では問題なのだが、遮音は仲々完仝にゆかない。できるだけ居間や応接室から便所を離すといったところでしょう。

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