暖気と換気、隙間風の防ぎ方

 暖房とは、要するに家の中に冬の自然とかけ離れた暖かい気侯をつくることです。空気を暖めて快い温度にする、それも一つの方法だし、何か熱源を利用してその転射熱によって人の身の廻りを暖かくするのも一つの方法です。ペーチカやオンドルはいずれも幅射熱利用の暖房であり、また、空気をあたためる意味で使われるストーブ類も、そばによれば緩かさを感じる以上、多少の輻射暖房が加味されているといえるでしょう。純粋に空気を緩めるためだけの暖房手段としては、温風、温水、蒸気などによる方法があります。
 ごく普通に家庭で用いられるストーブについて話を進めるとして、これが対流暖房と呼ばれるのは、熱源で暖まった空気は上昇し、外部から入って来る冷気は下向し、室内で空気がぐるぐる回転しながら暖房効果を上げてゆくからです。

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 暖まった空気が軽く力って上昇することは、吹き抜けになった喫茶店の二階へ上るとよく判る。何となく空気が汚れており、むっとするように暖かいのは、階下の汚染した空気までストーブの熱で上昇して来るからである。
 冷気が重く、下向することは、襖や障子の裾から流れこむいわゆる隙間風の現象で知ることができます。隙間風は襖の上部や欄間ではおこらない。
 こんなわけで、暖房した室というものは、その上半部に暖気がたまり、それはさらに天井裏や隣室への隙間を見つけて室外へ逃げ去ろうとする。と同時に、室の下半部では、隣室や外部の冷気がたえず隙間風となって忍びこむ。部屋の上半部から暖房の逃げやすいほど、隙間風もはげしい。また、天井の高い部屋ほど暖冷気の出入ははげしい。
 だから、隙間風を防ぎたかったら、ともかく、まず部屋の上半部の隙間をしっかりとふさぐことです。昔ながらの日本家の天井というと、きまって緯縁天井で、羽重ねになった天井板の間に相当な隙間のあったものです。暖気は矢継早やにそこからにげ、折角の暖房で一番あたたまるのは天井裏という結果になります。
 昔ながらの大きな欄間、これも格好の暖気の逃げ出しロです。
 だから、その室の暖房効果をよくするためには、ともかくも室の上半部の保温力を増強させること、そして、その部分に暖気の逃げる隙間をつくらないことです。
 もっとも、あまりこれをがっちりやりすぎると、今度は換気がわるくなる。汚染した空気と新鮮な空気を入れ替えるのが換気だが、日本に風通しという言葉が昔からありながら、換気という言葉のなかったのは、日本の家が隙間だらけで、特に換気に気をやまないでも、充分すぎるくらい換気が行われていたためだと思います。大体、和室は一時間に三回ぐらい空気がいれ換るとされています。
 しかし、これがコンクリート造とかブロック造とかいった気密な建物になると、おそらく一時間に一回ぐらいしか換気せず、そのため、知ちぬ間に空気が汚染して、頭が痛くなったり、息苦しくなったりする。一番危険なのは、コンクリートアパートの中に、和室の造作のしてある奴で、何か和室的なムードになって換気をわすれていると、その外側はきわめて気密なコンクリート造のため、中毒をおこす。
 ともかく、夏は通風が大切、そして冬には換気をわすれないことです。通風のための窓は床近く、低いものほど効果的だと前にいったが、換気用の窓はなるべく天井近く、高いほど有効です。その換気窓は開閉のできるものにし、必要に応じてそれを開放するのがよい。和室なら欄間ですが、昔式のおさ欄間でなく、引違いになった襖をここにはめこむのがよいと思います。そういう欄間があっても、折角いい気持に部屋があたたまっているとき、換気のため、それを開けるのは人情として一寸できかねることがあるものですが、その気持を押切ってこれを開放することが健康上大切なのです。

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