暖房のための熱源

 暖房のための熱源としては、電気、都市ガス、プロパンガス、石炭、薪、煉炭、重油、軽油、灯油などがあります。
 電気、つまり電熱は空気を全く汚さず、スイッチをいれればたちまち発熱する点、きわめて便利ですが、燃料費の非常に高いのが玉にキズです。
 ガスも便利ですが、排気筒のない普通の反射形のストーブは、ガスに多量の水素を含んでいるため燃焼して水蒸気を出し、室内の湿度をあげ、窓ガラスの内側や壁、押入れの中などに結露することがあります。酸素が不足して不完全燃焼する場合COの出ること、また、火が消えると大変なことなど、説明するまでもないでしょう。
 プロパンガス。それ自身は有毒ではありませんが、不完全燃焼で叩き出す点、都市ガスと同様です。
 石炭、薪、燃料費のやすい点は有難いが、燃えがらの灰の仕末に困ります。札幌あたりのペーチカやオンドルはこの種の燃料によっていますが、東京で石炭ストーブを使うときは、まず灰の仕末を産廃業者と相談すべきです。
 それと、どうしても煙突を取りつけなければいけないこと、その煙突が外壁を通る眼鏡石の附近の施工がわるいと火事の危険があること、室内が何となく煤けてくることなど、欠点といえるでしょう。
 煉炭は燃焼にあたってCOを発生し、どうしても煙突を必要とするように思います。
 灯油を用いた石油ストーブは、一時、非常に普及しましたが、燃料が安く、経済的である点はよい。しかし、燃えるとき臭気が出る、煤ける、倒すと火事になる危険がある、給油の手間が面倒である、などの欠点があります。
 ともかく、石油ストーブの増えたおかげで火事が多くなったというくらいだから、取扱いに極力気をつけ、燃えているストーブを持って歩くようなことは絶対にすべきでしょう。
 も一つ、気をつけるべきことは、芯の操作をあやまるとおそろしく煤の出てくることで、そのため壁、天井はもちろん、箪笥の中から米櫃の中まで真黒になってしまうことがあります。

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 戦後の暖房はまず火鉢から始まり、やがてガス、電気、石油などをつかうストーブヘと発達しましたが、昭和四十年頃から中央暖房(セントラル・ヒーティング)を行なう家が少しずつふえはじめました。これはボイラーでわかした温水、熱い蒸気をパイプづたいに各室に送り、それによってラジエーター(放熱器)をあたためて暖房するものです(温水のときは温水暖房、蒸気のときは蒸気暖房という)。住居では温水を用いる場合が多いが、アメリカでは、ボイラー室であたためた空気をダグトによって各室に送る温風暖房をとっているのが多いようです。
 いずれにしても、空気の汚染とか火災とかに心をくばらずに家中をあたためられる点できわめてすぐれています。
 その後、昭和四十年頃から夏期の冷房の要求がふえはじめて、機械室にボイラーとならべておいた冷凍機によって冷風、あるいは冷水を暖房の場合と同様に各室へ送る方法がさかんになりました。
 冷風を送るときは、冬期温風を送るダクトを利用しますが、冷水のときは、各室でそれによって冷した空気を室内に吹き出させる(ファンコイルユニット)。また、別の方法として、暖房は前記と同じ方法によりますが、冷房は各室にそなえた水冷式冷凍機を用い、それで空気を冷やすのがふえました(エアロマスター)。
 水冷式冷凍機を用いるものに共通した欠点は、それを冷やすのに用いる水(冷却水)を再使用するためにクーリンタクワーを用いることで、それが大きな音をたてるため、近隣の家とトラブルが起こりがちのことです。
 暖房冷房、いずれも天然の気温をあたためたり、冷やしたりする点で同じようなものですが、両者に一つの大きなちがいがあります。それは外気零下20度、室内に25度つまり内外温差が45度あっても人間は健康な生活をいとなむことが出来るが、冷房の場合は、外気35度、室内25度、内外温差10度でも人間の生理がそれに耐えられないことです。冷房の際の内外温差は5度以下にとどめるべし、というのが現在の常識になっています。
 ファンコイルユニットやエアロマスターの特長は、室ごとにそれをストップ出来、必要な部屋のみに暖冷気を吹き出させられることです。また、その機械室の広さは延一三〇mの家で、六平米ぐらいあればよい、屋内全部をひっくるめて暖冷気を送れる温風暖房は小住居向きです。

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