収納スペース

 収納スペースという言葉から、まず連想するものは何でしょうか。いうまでもなく押入れです。たしかに押入れはすばらしい収納スペースです。日本が外国に誇る住まいの知恵といっても過言ではないくらいです。押入れならば、どんな形の物でも詰め込めますし、襖を閉めてしまえば部屋はすっきり、突然の来客の時など、こんな有難いものは他にありません。
 主婦が、できるだけ多くの押入れがある住まいを求めるのも、そんな押入れの魔力をよく知っているからなのでしょう。
 もし、新築の設計段階で主婦の収納に関する希望を100パーセント満たす家を考えたとします。それはどんな家になると思いますか。おそらくこんなふうになるのではないでしょうか。
 いたるところが押入れで、その上天袋や地袋までつけて、可能な部分はすべて収納スペース。
 そんな馬鹿な、と思われますか。でも、これが主婦の希望を満たす家のスタンダードな状態なのです。どの部屋もきちんと片づいて、物が外に出ているなどということはないでしょう。まだまだ余分な収納スペースがあるかもしれません。

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 頭をはたらかせて、収納の問題を考える必要などまったくないようです。こんな家を設計してもらうでしょうか、その場合、家族はいったいどこで生活するのでしょうか。
 押入れの奥行きは90cmです。それが家のいたるところにあるのですからたいへんです。家族の生活空間は、当然狭められることになります。きちんと片づいてはいるものの、押入れによって狭められた空間のなかで、家族が肩を触れ合いながら生活しなければならなくなるのは眼に見えています。
 家族間の断絶が取り沙汰される昨今、まさにスキンシップ、そんな生活ぶりも悪くはないのかもしれませんが、決して快適とはいえません。収納スペースさえあれば、収納の問題は片づくという考え方は、どうやら間違いのようです。
 みなさんのなかには、収納スペースにまだ余裕があるという人がいるかもしれません。でも、油断は禁物、広い収納スペースがあればあるほど、物は増えるものなのです。まだ収納できるという安心感が、不要不急な物を買うことになって、後先のことを考えずに収納することにもなります。
 その結果、気が付いたときには、あんなに余裕のあった収納スペースに物がぎっしり。しかも、何かどこにしまっているのか皆目見当がつかないなどということになりかねないのです。ですからスペースがあるから収納の問題を考えないというのではなく、少しでも上手な収納をするためにアイディアを発揮してほしいのです。
 少し逆説的ないい方になりますが、収納のスペースをある程度で打ち切ることも必要なのです。
 わが家の収納スペースは、これだけしかないのだからという考え方です。そうなれば、今ある物、これからどうしても増やさなければならない物を、どう整理し、いかに上手に収納するかを考える必要性がでてくることになります。必要は発明の母とか、必要性を感じないところに、すばらしいアイディアが浮かぶ余地はありません。
 収納の問題を、スペース中心ではなく、物中心に考える。これが、この本のなかであなたといっしょに考えていくテーマです。スペースにばかりとらわれていたあなたから、物そのものを考えるあなたへの転換は、収納下手から収納上手への変身に他ならないのです。

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