収納位置

 収納スペースの位置について考えてみましょう。原則的にいえば、床から天井まですべて収納スペースであるのがいいわけですが、問題がなくもありません。
 どこに問題があるのかをはっきりさせるために原則にしたがった収納を仮定してみることにしましょう。するとこういうことが起こります。天井の近く、あるいは床の近くに収納した物はほとんど使われなくなる。
 なぜそうなるのか、それは出すときに大変だからです。天井近くの手の届かない収納スペースに収まっている物を出すには、踏み台、椅子などを使わなければなりませんし、床近くのスペースの物は腰をかがめなければなりません。そのぶん手間がかかったり、面倒だったりするわけです。ですから、次第に収納したまま使わなくなってしまうのです。
 もし、天井に近い高い所に収納スペースをとるとしたら、当然奥行の浅いものでなければ使えません。

スポンサーリンク

 床から天井まで収納スペースであることの問題点は、使えなくなる物が出てくるということになりそうです。つまり、使うための収納ではなく、収納のための収納になる部分ができてしまうということです。このことをあらかじめ知っておかないと、先ほどの原則を100%生かした収納はできないことになります。頻繁に出し入れする必要がある物を、天井近くに収納してしまったりすることになるのです。
 そこで位置についてのもうひとつの原則を考えなければなりません。それは、最も使う物は目の位置に収納するという原則です。背伸びをしたり、腰をかがめたりしないで、自然に立ったときの目の位置に収納されている物なら、どこに何かあるか一目瞭然ですし、手を入れて取り出すのも簡単です。ですから、日常よく便う物、必要な物はこの位置に収納するのが理想なのです。
 天井近く、床近くのスペースには、天井近く床近くに収納した物は、ほとんど使わなくなるのですから、逆もまた真なりで、ほとんど使わない物を収納すればいいことになりますね。たとえば、季節によってしか使わない物、ひな人形、正月用品等は、この位置でもそれほど不便を感じることはないはずです。
 収納する目的を正しく把握することも大切です。もっと分かりやすくいえば、その物をどこで使うのかをはっきり知ることができなければ、上手な収納はできないということです。しごく当然のことのようですが、この点での誤解は案外多いのです。
 たとえばコート類。コートはどこで使うのでしょうか。などという質問をしたら笑われるでしょうか。いうまでもなく、それは外出時に使われるのですね。そのことは誰でも知っていることです。でも、コートが外出時に使われるという当然のことが、収納には生かされていないのです。
 ここでもうひとつ失笑を買うことを覚悟で、質問をさせてください。コートはどこに収納されているのでしょうか。これまたいうまでもなく洋服タンスですね。どこの家庭でも寝室やプライベートルームにある洋服タンスが、コートの収納場所のようです。
 さて、外出時にしか使われないコートが、寝室の洋服だんすに収納されているということは、正しい収納、上手な収納といえるでしょうか。今度は少し考える余地があるのではないかと思います。
 物はそれが使われる場所に収納されるべきである。この原則にしたがえば、コートが洋服タンスに収納されているのは、正しくないことになりませんか。ではどこに収納するのが正しいのでしょうか。外出時に使われるコートなのですから外出する場所、つまり玄関に収納されるべきなのです。
 ご主人を玄関まで送りに出たとき、ご主人がこういったとしたらどうでしょう。「今日はちょっと寒いな、コートを取ってきてくれないか」
 あなたは寝室まで行き、洋服タンスの扉をあけてコートを取り出し、また玄関に戻ってこなければなりません。でも、コートが玄関に収納されていれば、玄関、寝室、玄関という距離的な移動は節約できることになります。
 そのくらいの手間などたいしたことではない、と思われますか、たしかにひとつだけを取ってみればそうかも知れません。しかし、そんな小さな動きの節約も、何十回、何百回と重なれば、大きな差となって表われるのではないでしょうか。
 あなたが当然のことと考えていた、コートは洋服タンスに収納するという常識は、何の根拠もないことになってしまいました。それどころか不合理でさえあるのです。洋服タンスの前からコートを着ていく、あるいは持っていく必要などどこにもないのですから。
 このような間違った思い込みは随所に見られます。ベッドで使う物、シーツ、枕カバー、毛布などはベットの下に収納したほうが便利ですし、下着類は、それを着がえる場所、すなわち浴室の脱衣所に収納するのが正しいのです。
 あなた自身の生活を、そんな視点から考え直してみれば、まだまだ間違いだらけの常識にとらわれているのが分かってくるはずです。それを発見するのが、上手な収納に近づくキーポイントであることは間違いありません。
 考えてみれば私達主婦は、日常生活のなかで絶え間なしに動いています。炊事、洗濯、掃除をはじめとする家事労働をこなしながら、それこそ部屋から部屋へ飛びまわっているといってもいいでしょう。ですから、少しでも動きの無駄を少なくしたいと願うのは、主婦ならば当然のことなのです。
 物を目的の場所に収納するということが、主婦の動きを減らすことにつながるのは疑いありません。
 納戸というのも、そう考えていくと必ずしも便利だとはいえなくなりそうです。納戸に何もかも収納してしまえば、一見、きちんと片づいた感じにはなりますが、いざ使う時には、いちいち納戸へ足を運ばなければならなくなってしまいます。そして、結局は納戸が古い家具の置場になってしまうのです。
 納戸の目的は片づけることです。収納が、片づけるのではなく、使いやすくすることだとすれば納戸のあり方について考え直す必要があるのではないでしょうか。
 使いにくいからといって、スペースをあそばせておくのは大変不経済なことです。アイディアを発揮して有効に使いましょう。

住まい暮らし生活
収納スペース/ 収納と整理/ 家族に必要な収納スペース/ 収納目的/ 収納位置/ 収納の基本/ 収納前の整理/ 家具と床面積の割合/ 食器になぜ来客用と家族用があるのか/ いい食器を日常的にも使う/ 収納と分類/ 空いているスペースはすべて使う/ 窓スペースを応用する/ リビングセットのスペースの応用/ 収納と捨て方/ 収納と飾り方/ 玄関の収納/ 居間の収納/ 子供部屋の収納/ 台所食堂の収納/ 寝室の収納/ 洗面所の収納/ 食器棚の収納/ 洋服だんす/ 整理だんす/ 書籍の収納/ 押入れには四通りの使い方がある/ ユニット家具/ 新築時の収納プラン/ 家具を壁の一部にした設計プラン/ 改築時の収納プラン/

      copyrght(c).住まい暮らし生活.all rights reserved

スポンサーリンク