収納前の整理

 あなたの家庭には、どんな物がどれだけあるでしょうか。わが家にある物については、お皿一枚、スプーンー本に至るまで完全に把握している。そう自信を持って断言できる主婦は、残念ながら、まずいないのが現実です。そのために、ますます物が増えることになるのです。
 ないと思って買った物がどこからか出てきたり、たしかにあったはずなのに、どこにあるかわからなくて、また買ったり、ということを繰り返すうちに、同じ物がいくつもあるということになってしまうのです。
 調査でも、そんな結果が出ています。一軒の家には必ず同じ物がいくつかずつあるというのが、調査でわかった驚くべき事実なのです。ぜひ物の再点検をしてほしいと思う理由は、まさにそこにあるのです。
 家のなかにある物すべてをリストアップしてみて、あなた自身で物がいかに多いかを知っていただきたいのです。
 たとえば台所はどうでしょうか。鍋はいくつありますか。そして、それは毎日の調理にぜひとも必要な物なのでしょうか。以前、30人の主婦達を対象に、鍋の数について聞いてみたことかあります。いったいどのくらい持っていると思いますか。
 そのとき最も多く持っていた人は15個でした。平均すれば10個というのが一家にある鍋の数のようです。10〜15個もの鍋を駆使して、いったいどんなにこった、すばらしい料理を作るのでしょう。
 主婦達にもう少し聞いてみましょう。私が次にした質問は、それでは、あなたが持っているお鍋のうち、常時使っているのはいくつくらいですか。というものでした。
 ほとんどの主婦の答が、5〜6個でした。つまり、持っている鍋のうち、実際調理に使われているのは約半分なのです。これはこんなふうにいい換えてもいいのではないでしょうか。
 持っている鍋のうちの半分は使わない、したがってそれは不必要な物です。
 ちょっと極言かも知れませんが、少なくとも絶対に必要な鍋は5〜6個といえそうです。

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 では、なぜ使わないで置いてあるだけの鍋が増えてしまうのでしょうか。その理由はいかにも女性らしい可愛いいものなのです。
 ヨーロッパのお鍋はとってもよいと聞いたんですもの。ホーローのお鍋がきれいだったので、つい買ってしまったの。
 私にもよく分かるような気がしますし、一概に責められない気もするのですが、収納についてあなたにアドバイスを与える立場としては、そういってもいられません。
 たしかにヨーロッパの鍋は、デザイン的にも機能的にもすぐれていることは事実です。しかし、それには必然性がちゃんとあるのです。
 ヨーロッパの料理では、鍋を使う機会が非常に多いのです。シチューなどのように一日中煮込んだりする料理が、毎日のメニューのなかにあるのですから、よい鍋がたくさん必要になるというわけです。
 ところが日本ではどうでしょう。そんなふうな鍋の使い方をする料理は、年にそう何回もするものではありません。それならば、ヨーロッパの鍋をいくつも揃える必要はないはずです。
 一度使っただけで長い間置きっぱなしになるのも当然です。
 素敵だから買う、気に入ったから買うという考え方は、無駄のはじまりです。
 いくらショッピングが主婦のストレス解消法だとしても、いわゆる衝動買いは感心しません。物を買うことは、収納の手間をひとつ増やすことでもあることを、絶対に忘れないてください。
 そして、それがほんとうに必要な物なのかどうかを熟慮する心構えを持ってほしいものです。不必要な物を買うことの無駄がどれほど大きいかを、一度じっくり考えてみてください。もちろん、その無駄が、上手な収納をどれほど妨げるかということもです。
 さて、あなたの料理のレパートリーには、いくつ鍋が必要でしょうか。5個ですか、6個ですか、それとも10個でしょうか。たしかにたくさんの鍋を使えば、それだけ調理時間が短縮できます。ひとつの鍋に材料を入れたまま、別の鍋で次の料理というふうに。でも、あと片づけのことを考えたらどうでしょう。鍋を10個使えば当然10個洗わなければなりませんね。一方、ひとつの鍋をうまく使って料理ができれば、洗うのもひとつで済みます。考え方次第では、鍋ひとってもかなりの料理ができるものです。
 鍋は何個なければいけないなどという固定観念にとらわれずに、少ない鍋でいかに手際よく料理を作るかの工夫をすることが大切なのではないでしょうか。
 ゆで物と煮物を併用したり、あげ物と炊め物を併用したりすれば、ほんとうに必要な鍋の数はかなり減るに違いないのですから。
 新しい物好きの弊害についても述べておきましょう。主婦のなかには、何でもかでも新しい物でなければいや、という人がいるものです。いわゆる。新し物好きですね。これは収納に関していえば禁物です。
 少し使い古した物はすぐ飽きてしまって、次から次と新しい物に眼を奪われてしまうのでは、物は増えるばかりです。そういう主婦にかぎって、新しければ安物でも何でも買ってしまうようですが、結局は安物買いの銭失ないということになりがち、よい物ならば飽きがくることも少ないはずです。
 むしろ、使い込むうちにますます良さが出てくるものなのです。多少高価な物でも良い物を厳選して買って、長い開使うことの方がどれほど得かわかりません。
 もし、あなたにそんな傾向があるのでしたら、今すぐ当たらし物好きを返上してほしいものです。上手な収納に。新し物好きは大敵なのです。
 家庭に現在ある物について、ひとつずつ点検していくと必要な物は意外に少ないと感じるのではないでしょうか。
 もし仮りに必要な物だけを残し、そうでないもはすべて捨ててしまったら、収納について悩むことはなさそうです。しかし、収納についてみなさんより少しは多く考えている私にも、そうすることがベストだとは思えません。
 必要な物以外はすべて捨ててしまいなさい。それが収納の悩みを解決する方法ですよ。
 そういった途端、さまざまな反論が返ってきそうな気がするからです。そのなかでいちばん多いのは、きっとこんな反論ではないかでしょうか。
 必要な物だけ残してすべて捨ててしまえば、収納の問題は解決するかもしれない。でも、生活の潤いはどうなるんだ。実用しか考えない生活が豊かな文化生活といえるかどうか。私もその通りだと思います。生活の潤いは案外無駄のなかにあるのかも知れませんし、何から何まで必要な物しかない、という生活が味けないものであることは、容易に想像できます。
 ですから、私は生活のなかの無駄をすべて追放せよ、というつもりはありません。各自の生活方針にしたがって、どこかで無駄を減らそうと提案したいだけです。
 たとえば、鍋などの調理器具については、必要最少限にとどめる。そのかわり食器は少しバリエイションを豊富にして楽しもうとか、テーブルクロスで食事の雰囲気を演出しよう、というふうに考えてほしいのです。テーブルクロスならたたんで重ねておくことができますから、鍋の収納に比べてずっと楽ですね。そう考えていけば、どの家庭にも整理できる無駄が必ずあるはずです。
 端的にいってしまえば、無駄があることが収納にとって問題なのではなく、生活のなかのすべての物に無駄が多すぎることが問題なのです。
 どこかで無駄をなくし、そのかわりどこかで無駄を楽しむという考え方を持つことが大切です。もちろん、それは各自の生活様式によって千差万別であることはいうまでもありません。あなたの生活のなかで整理できる無駄がどこにあるのか、発見してみてください。

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