食器になぜ来客用と家族用があるのか

 主婦にとっていちばん頭を悩ますのが、食器の収納ではないでしょうか。それは食器ほど増えやすい物はないからです。
 では、なぜ増えやすいのか考えてみましょう。日本人の生活感覚(生活習慣)からして他人に何かを贈る時、まず順に浮かぶのは食器です。結婚式の引出物に食器類が多いのも、それを雄弁に物語っています。そして、それら贈られた食器は100パーセント使われているとはいえないのです。一度も使われることなく箱に入ったまま、どこかに眠っていることさえ珍しくありません。
 その理由として考えられるのは、食器類には個人の趣味が反映されることです。いくらいただき物だからといっても、自分の趣味に合わない物は使いたくないというのが人情というもの、気に入った湯飲みで飲むお茶がいちばんおいしいというのは、どうしようもないことですから。
 しかし、折角いただいた物をどこかにあげてしまうのも気がひけます。その結果、使わない食器類が増えてしまうことになります。そのような食器類をいただくことの不都合さを感じていながら、いざ自分が贈る立場になると、やはり食器類が無難だと考えてしまうのではないでしょうか。これではまさに悪循環、収納に関してははなはだ迷惑なそんな習慣は、考え直さなければいけない時期にきているといえます。
 日本のふつうの家庭では必ず同じ種類の食器が二組以上はあるはずです。ふだん家族で使うもの、そして来客用のものの二つです。
 家族が使っている食器で来客をもてなすのは失礼にあたる、というのがその理由だと思います。他人に礼節を尽す日本人の美徳の表われでしょうか。しかし、それは合理的なのでしょうか。いえ、合理性を抜きにしてもほんとうに必要なことなのでしょうか。

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 あなた自身の家庭について考えてみてください。この一年間のうちに食事を出してもてなした来客が、何組くらいあったでしょうか。
 いくら多くても10組もあったという人は少ないと思います。たしかに昔は、何でも家で行なう傾向があったようですから、年に10組以上もの来客に食事を出してもてなす必要があったかも知れません。しかし現代では、そのような機会がかなり減ってきているのではないでしょうか。
 来客があったら店屋物を取るとか、一緒に外出してレストランで食事をするというようなことの方が多いのではないかと思います。現実がそうであるにもかかわらず、来客用の食器を最低一組は持っていなければならないという風習が残っているのが実状なのです。
 年に多くても一度か二度使われるために、来客用の食器がどこかにしまわれているのは、どう考えても合理的とはいえません。もっといえば、ほとんど使わない物を持っているのは、スペースの無駄使いといってもいいくらいです。
 収納の原則からいえば、使わない物を持っているなどもってのほか、ということになってしまいます。
 さらに来客用の食器はほとんどの場合、塗りや焼きのよい高価な物ではないでしょうか。少なくとも家族が使っている物よりは立派なはずです。
 高価な物が使われずにしまっておかれ、家族は毎日、はんぱな食器で食事をする。なんだか不思議な気持ちがしません。私など。宝の持ちぐされという言葉は、来客用の食器のためにあるのではないかと思うほどです。
 ここでちょっと外国の話をしたいと思います。例えば北欧の家族では、非常にすばらしい食器を一式持っています。もちろん日本のように来客のためのものではありません。家族がそのすばらしい食器を、毎日の食事のために使っているのです。
 では来客があったときはどうするのでしょうか。もっといい食器を出すのでしょうか。とんでもありません。家族が使っている食器を来客にも出すのです。それは食器に対する考え方の違いからきています。洋食ではスープ皿にしても、ミート皿にしてもわりにシンプルです。日本のように××塗りの椀だとか、○○焼きの湯飲みなどという物はありません。きれいなお皿に盛れば充分来客用として通用するのです。
 このような食器に対する考え方の違いはあるにしても、いい食器を家族も来客も使うということは、学ばなければいけないことだと思います。
 家族用と来客用、これだけでも外国に比べて食器が多くなる要素は充分です。しかしまだ増える要素があるのです。それは日本人の食生活を考えればすぐ分かることですが、料理のバリエーションの豊富さです。
 和食あり、洋食あり、中華ありといった具合に、食卓を飾る料理はまことにバラエティに富んでいます。当然それを盛る食器も、和食器、洋食器、中華用食器と、多くならざるをえません。これまた外国が洋食器だけで間に合うのに比べ、収納の点では大きなハンディキャップといえないでしょうか。
 だからといって、味噌汁をスープ皿で飲んだり、逆にスープをお椀で飲むようにしようというのでは、あまりにも不粋といわねばなりません。やはり料理は、それに合った食器でなければ、味けないものです。
 日本の食生活のうえからは、和、洋、中の食器を揃えなければならないのは、しかたのないことだといえそうです。
 だからこそ、私は家族用、来客用の区別はやめるようにしたいと思うのです。

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