収納と捨て方

 物の点検の結果、もう絶対に使うことがなさそうだと思われる物はなかったでしょうか。ここではそんな物について考えてみたいと思います。
 日本人は非常に物を大切にする国民です。戦後物がまったくない時代から、現在経済大国といわれるほどになった背景には、物を大切にするという国民的思想が働いていたことはたしかです。
 私達にとって、物を捨てるなどということはとても考えられないことです。もう使うことはないいと分かっていても、捨てるのは忍びないというのが、私達の物に対する考え方の底に流れているようです。
 私も、収納を妨げているのは、物が多すぎることだと分かっていても、捨ててしまいなさいということはできません。しかし、どこかでけじめを持ってほしいのです。
 捨てることは絶対できない、でも欲しい物は買うというのでは、物は増え続けるばかり、最後には人間の生活空間まで物に押しつぶされてしまいます。
 使わない物を持っているということは、考えようによっては莫大な損失であることも多いのです。数字でそれを示してみましょう。
 現在、地価や建材費は上がる一方です。仮りに、今使っていないし、これからも使うことがない物を収納するために一間の押入れが必要だとしますと、まったく生活のなかで役に立たない物のために数十万円分のスペースを使っていることになるわけです。これは大きな損失といえないでしょうか。
 それらの無用の長物がなかったとしたら、数十万円分のスペースは必要な物の収納場所として、あるいは生活空間として、もっと生きた使い方ができるのです。
 必要のない物、いわば死んでしまった物のために貴重なスペースをさくことは、スペースまでも殺してしまうことになるのです。
 物を大切にする心はすばらしいことですが、時と場合によっては、捨てることの合理性を考えてほしいのです。物を捨てることの損失と、スペースを無駄にすることの損失、あなたの生活のなかでどちらがより大きいのか、一度じっくり考えてみてください。

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 あなたに決断をしていただきたいのです。なくてもいい物、必ずしも必要ではない物を、思い切って捨ててしまう決断です。そうしない限り不充分な収納スペースの問題を解決することはできません。もちろん、物を新たに増やさないことも大切です。捨てた分だけ買ったのでは、せっかく決断した意味がなくなりますから。
 最低何か必要なのかを検討することからはじめ、物の量をしぼっていくことをぜひ実行してほしいものです。煮物のためには鍋が必要ですし、炊飯のためには炊飯器が必要です。しかし、考え方次第ではご飯も鍋で炊けるのです。すると炊飯器はなくてもよいことになります。これは極端な考え方かもしれません。実際にはそこまで行なう必要はないと思います。ただそういう心構えだけはぜひ持ってほしいのです。
 家というのは人間の身体と同じなのです。人間が食べるだけで排泄をしなかったら、健康をそこねてしまうように、家のなかも物を買うだけで整理することがないとしたら、その機能に障害をきたすことになるのです。
 物を捨てることも、時には必要なことではないでしょうか。必要でない物は捨てるなどというと、お客様にはいい食器でおもてなししたいし、たくさん食器を持っているのは、女性として楽しいこと。
 そんな反論が返ってきそうです。でも、前にも述べたように、いい食器を家族も使い、来客があったときも同じものでもてなすようにすればいいわけですし、食器を多く持っていたいという一種の見栄は捨てられるはずです。
 そして、収納スペースに収まるように整理することで、部屋がすっきりすれば生活空間も広がり、豊かに暮らせるのではないでしょうか。見栄を捨て精神的に豊かに生活することと、物にかこまれて狭い生活空間で暮らすことと、あなたはどちらを選びますか。

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