押入れには四通りの使い方がある

 押入れが、わが国特有の収納スペースで、どの家庭にも必ずあるのが押入れということになれば、その活用法如何が採点の目安になるといっても過言ではないでしょう。そこで押入れを上手に使うためのアイディアを考えてみましょう。
 押入れの活用法には、大きく分けて四種類あると考えられます。
 収納スペースとして使う、洋服だんすとして使う、住まいのスペースとして使う、納戸ふうに使う。
 この四種類の活用法のうちどれを利用するかは、それぞれの家庭によって違ってくるでしょうが、ひとつずつ方法を述べていくことにしましょう。
 もうあなたは、押入れが収納スペースのすべてであるとは考えていないはずです。押入れが収納スペースとして威力を発揮するのは、和風寝具をしまうときだけでした。その他の物の収納にとっては帯に短し、たすきに長しという感じで、便利とはいいがたいのです。
 その不便さをアイディアで克服してしまいましょう。押入れを効果的に活用するためにいちばん大切なこと。それは、何に使うかを決めることです。いいかえれば使用目的を設定することです。目的が決まらなければ、どんなアイディアも実用としての意味を持ちません。目的がはっきりしてはじめて、アイディアが生きてくるのです。
 当然すぎることかも知れませんが、アイディア倒れは案外多いもの、もう一度胸に刻み込んでおいてください。

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 さて、目的は決まりましたか。それでは活用法に入りましょう。まず、押入れをそのままの形で使うことを考えることにしましょう。
 ご存知の通り、押入れの奥行きは90cmあります。このことが押入れを使いにくくしている元凶でもあるのです。実にしまった物を出すためには、手前の物をひとつずつ出さなければなりません。もっと出しやすくならないでしょうか。
 スノコとキャスター、この二つが出しにくさを解消してくれます。スノコにキャスターを取り付けて、その上にいろいろな物をのせて収納すればいいわけです。
 こうしておけば、引き出すのに力がいりませんから、奥にあるどんなに重い物でも、スルスルと取り出すことができます。ひとつずつ取り出す手間を考えたら、スノコにキャスターを取り付けるくらい何でもありません。
 押入れだんす これも利用したいもののひとつです。押入れだんすというのは、その名の通り押入れにすっぽり収まるように作られているたんすです。つまり奥行きが90cmになっているわけです。
 ふつうのたんすの奥行きが最大60cmであるのに比べ、かなり深いことになります。ここでちょっと疑問が湧きます。奥行きが90cmもあったら、使い勝手がよくないのでは。まさにその通りです。90cmの奥行きではたしかに奥の物は取り出すのが大変です。ことに引き出しでは、全部引き出して使うのはとても不便です。でも、押入れだんすはその点もちゃんと考えてあるのです。
 ふつうの押入れだんすは、中央つまり奥行き45cmのあたりにしきりがついています。ですから、頻繁に取り出す必要のある物を手前に、そうでない物は奥へ収納すればよいことになります。
 例えば、衣類の収納なら、その季節の物は手前に、他の季節の物は奥にという具合です。季節が変わったら、前後を入れ替えればよいわけです。
 もっとアイディアを生かせば、こういうこともできるのではないでしょうか。押入れの引き出しの前板の部分と、奥の板の部分の仕上げを同じにしておくのです。そうすれば季節ごとに入れ替えする必要はなくなります。季節が変わったら、引き出しの前後を逆にして引き出しを入れ替えればよいのですから。
 押入れにはふつう、棚が中央にひとつあるだけです。これもまた、使いにくさの原因です。
 しかたなく物を高く積み上げることになり、その結果、出しにくくなってしまうわけです。この不便さを解消するのは簡単です。
 棚が少ないから使いにくいのならば、棚板を作ればいいことになります。日曜大工で作るのもけっこうですし、市販のものを利用するのもいいと思います。
 押入れのなかの棚ですから、それ程良い材質のものでなくてもいいのです。ふすまを閉めてしまえば外からは見えないのですから。こんな簡単なことだけでも、ずいぶん使いやすくなるのです。
 そのための棚、ケースなどもいろいろ市販されていますので、あなたの目的に合った物を選んで利用してください。
 次は洋服だんすとして活用する方法です。それには二つの方法があります。押入れの中央の棚をそのまま残す方法と、切り取ってしまう方法です。
 棚を残したままの場合は、コート、ワンピース類以外の物を吊るようにしましょう。長い物は中央の棚で折れ曲ってしまうからです。
 押入れにパイプを取り付けるだけでいいのですが、パイプは横に一本にすることです。二列掛かるだろうと二本取り付けても無駄になります。洋服を吊るには60cmくらいは必要なのです。ですから、二列吊るためには120cm必要になります。押入れの奥行きは90cmでした。それでは二列分には残念ながら30cm足りないわけです。
 ところが一列では逆に30cm余ることになります。30cmくらいしかたがないなどといってはいけません。使えるスペースは100%使うことが大切です。ケースを置いて下着類、小物などを収納することにしましょう。
 縦に何列かパイプを通している家をよく見かけますが、これは、洋服が正面を向くことになるので、奥の洋服が取り出しにくくなります。
 中央の棚をはずしてしまい、コートやワンピース類を収納する方法もあります。棚板の切断は、日曜大工で素人にもできるはずです。それで簡単な、ウォークインクローゼットができあがります。
 この場合、コート、ワンピース類は端に寄せて吊るようにして、短い洋服の下は押入れだんすにすれば、さらに収納量は増えます。奥の30cm分は、棚にでもすればもう理想的です。
 大型のスライドハンガーを利用するのもひとつの方法です。スライドハンガーを利用すれば一間の押入れで三列掛けることができます。
 なぜ、そんなことができるのでしょうか。それはパイプを利用したときと、洋服を吊る方向が違うからです。押入れにパイプを取り付けた場合は、洋服を横に向けて掛けることになりますが、このスライドハンガーの場合は正面に向けて掛けることになるのです。ですから、押入れ一間(180cm)なら、60×3(列)となるわけです。
 収納量についても述べておきましょう。ふつうの背広なら奥行き45cmで何枚くらいかかると思いますか。9枚です。それもそれ程詰め込まないで9枚は掛かるのです。とすると押入れの奥行き90cmですから、18枚掛かることになります。トータタルでは、18枚の3列、54枚掛かるわけです。
 これならば、かなりの衣装持ちの人でも充分に収納できるはずです。季節ごとに洋服を出し入れする必要もなくなりそうです。主婦にとって、こんなにうれしいことはないでしょう。
 男性にはお分かりにならないでしょうが、主婦にとって季節ごとの衣替えは一大仕事なのです。夏物をきちんとたたんで箱に入れ、冬物を箱から出してハンガーに掛ける。それだけではありません。たたんであった洋服にできたたたみジワにアイロンをかけなければなりません。まさにこれは一〜二日がかりの仕事になってしまいます。
 ところが、押入れを洋服だんすとして活用することで、そんな面倒な手間が省けるのです。収納量がぐんと増えますから、シーズンを通して洋服を掛けたままにしておけることになります。クリーニングから戻ってきた洋服をビニール袋に入れたまま掛けておけばOK。季節が変わったら袋から出してすぐ着られます。アイロンかけをする必要もありません。
 外国ではこういう収納が当り前なのです。洋服をたたんで箱に入れてしまうなどという習慣はありません。季節感の違いもあり、衣類の量の違いもありますが、どちらが合理的かは明白です。こんな合理性はぜひ見ならいたいものです。
 次に押入れを収納ではなく、住まいのスペースとして活用する方法をいくつか考えてみましょう。
 お子さん用の二段ベッドとして使ってみるのはいかがでしょう。マットレスを敷き込めば、たちまちベッドに早変わりです。上段だけをベッドにするなら、下は収納スペースになります。寸法的にも90cm×180cmですから充分だと思います。
 ただし、襖はぜひ変えてほしいものです。空気の流通を考えてガラリ戸などにすれば、見るからに押人れを改造したという印象もなくなります。
 中央の棚を取りはずして、ベニアを貼ります。さらに好みに合った壁紙でも貼れば、快適な勉強スペースとして使えるのではないでしょうか。あるいはご主人の書斎スペースにしてもいいでしょう。たたみ一枚分の空間ですから、机を置いて本棚を吊るくらいは充分できます。
 今度はあなた自身のための活用法です。物を飾って部屋の雰囲気を変えてみるのはいかがでしょうか。今まで飾る場所がなくてどこかに眠っていた物を、変身した押入れに飾りませんか。ルームアクセサリーひとっても部屋の雰囲気は変わるものです。第一、気分的にも楽しくなるのではないでしょう。
 収納スペース、プラス生活スペースということも考えましょう。中央の棚を取りはずして、45cmのユニット棚をぴったり奥へ並べてしまうのです。これでかなりの物が収納できますし、生活スペースもわずか45cmとはいえ、増えることになります。
 インテリアと収納を考えるのでしたら、収納壁を利用するのがいいでしょう。押入れの寸法にぴったり合ったものですから、見た目はまるで作り付け家具そのままです。ただし、奥行きは60cmですから、奥の30cmはデットスペースになってしまいます。
 この点のデメリットを考えても、押入れが作り付け家具に変わることのメリットはなお大きいのではないでしょうか。今まで何でもかでも押し込んでしまって、使い勝手の悪かった押入れが、収納壁になれば、収納の面での便利さは限りなく広がるのですから。
 押し入れは部屋の中央にあるものですから出し入れもしやすく、本格的な納戸よりも使いやすいという長所もあります。
 古くなった家具を収納してしまうわけですが、この場合、襖はそのままにしておいてかまいません。中央の棚だけを取りはずしてください。
 ポイントになるのはどの家具をどう入れるかということです。入れてしまってから扉があかない、引き出しが使えないというのでは困ります。
 どうしてもデッドスペースが出てしまいますが、それに眼をつぶって、少しでもデッドスペースをなくす方法を考えることです。

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