ユニット家具

 システム家具については、正確な知識を持っている人が少ないようです。他の家具と比べてばく然と高価なもの、手が出ないものというイメージを抱いている人も多いことでしょう。
 そこでユニット家具、システム家具とはどんなものなのかを、まず知っていただきたいと思います。
 最近の住まい関係の雑誌は、ユニット家具、システム家具の花盛りの感があります。にもかかわらず、ユーザーはよく知っているとはいえないのです。なぜでしょうか。
 私の経験でこんなことがありました。某日、ユニット家具、システム家具についての講習をしたときのことです。会場の人達はみんなユニット家具、システム家具の良さを認識され、購入したいものだと感じたようです。
 しかし後日、私のもとへ手紙が届き、どこへ行っても売っていないというのです。どこの家具売場でも扱っているはずなのに、不思議なこともあるものです。
 それは、ユニット家具にしても、システム家具にしても、ショールームに展示されているものは、単品の家具とそれ程変わらないということが原因のようです。
 洋服だんす用とか書棚用というふうに組み上げられたものは、たしかにふつうの家具と変わらないのです。それどころか、どんなふうにでも組み合わせができるという性質上、デザイン的にあっさりしているというのも特徴ですから、実にそっけない印象すらうけます。
 このあたりにユニット家具、システム家具がもうひとつ理解されない要素があるのかも知れません。機能性のすばらしさを見過ごされたまま、見かけだけで判断されるのは、ユニット家具、システム家具にとっては、不当なことだという気がします。

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 ユニット家具はもともと箱なのです。いくつか基本になる箱があり、それをいろいろに組み合わせることによって、各種の家具を作りあげていくのだと考えてください。
 一方、システム家具はさらに単位が細かくなります。いわばシステム化された板の組み合わせで家具を作るといえるかも知れません。
 この意味では、ユニット家具もシステム家具のひとつといえるのです。
 そして、それぞれの家具はすべて寸法が合うようになっています。
 例えば、40cmの奥行きの帆立板を選べば、それに合う棚、扉を、どのようにでも組み合わせることができるのです。しかも、同じ材質でできていますから、独立した家具と変わりません。
 ですから、ユニット家具にしろシステム家具にしろ、どれだけの部品があるかを知っておけば、どんなふうにでも思い通りに組み合わせることができるわけです。自分自身のイメージ通りの家具が作れるのが、これらの家具といえるでしょう。
 さらに、一度組みあげたものを、また違うものに組み変えることもできるのです。
 しかし、現在市販されているシステム家具は、専門家でなければ解体、組み立てが難しいようです。その点ではユニット家具の方が扱いやすいと思います。
 ユニット家具、システム家具とはどういうものなのか、理解していただけたでしょうか。機能的なすばらしさ、良さを理解して使いこなすことができれば、これ程バリエーションが豊富で、便利なものはないのです。
 ユニット家具、システム家具をうまく使いこなすコツは何でしょうか。それはなかに収納する物を徹底的に把握しておくことに尽きます。それができていなければ、宝の持ちぐされになってしまいます。
 従来の家具は、まず家具を選び、買ってきてからそれに収納する物のしまい方を考えるというものでした。ところがユニット家具、システム家具では、まったく反対なのです。しまう物を考えてから、それに合った機能を持つ家具を作っていくのがユニット家具、システム家具の考え方なのです。
 ですから、スペースの無駄が生じることもありません。収納にとって、どちらが便利かはいうまでもありません。
 さらに、計画的に家具を揃えていけるというメリットも見逃がせません。単品の家具はひとつひとつのデザインが決まっています。そのため、洋服だんすの次に整理だんすを、と考えてもまったく同じデザインの物を揃えるのはほとんど不可能です。しかたなく、似たデザインのもので我慢する、ということになるのではないでしょうか。
 その点、ユニット家具、システム家具なら万全、まったく同じ家具がどのようにも揃います。インテリアという点でも、統一がとれるわけです。
 まったく同じ材質、色調、デザインの洋服だんす、整理だんす、書棚、カウンター、デスク等々が見事にそろった部屋は、ユニット家具、システム家具の真骨頂といったところでしょうか。
 そんな調和のとれたインテリアは、狭い部屋を広く見せることにも効果を発揮するのです。
 価格の面でも誤解があるようです。単品の家具と比べてそれ程変わらないのに、高いというイメージがあるのは、見かけの問題ではないかと思います。
 同じ価格の家具を比較した場合、単品の家具の方がデザイン的にずっと豪華に見えるのはしかたのないところ、それが高いというイメージにつながるのかも知れません。
 しかし、五年先、十年先の事を考えてみましょう。洋服だんすの収納スペースをもう少し増やしたいと思っても、単品の家具では半分だけ買うというわけにはいきませんし、製造中止の場合もあるでしょう。ところがユニット家具、システム家具なら自由自在、いつでも必要なスペースの分だけ買いたすことができるのです。
 物は必ず増えるものです。いいかえれば、収納スペースはいつかは増やす必要が出てくるということになります。収納家具を選ぶときは、目先にとらわれず、将来を見通して選んでほしいものです。
 便利このうえないユニット家具、システム家具ですが、メリットだけをあげるのは片手落ちになりそうです。
 何かデメリットを探してみましょう。これといったデメリットは見あたりませんが、しいてあげるならば、デザインがシンプル過ぎることではないでしょうか。家具には装飾的な要素があると考えられないこともありません。部屋のなかで家具はかなりの空間を占めているわけですから、それ自体が飾りとして、部屋の雰囲気を演出する場合もあるでしょう。
 ユニット家具、システム家具じゃ、デザイン的に物足りないという声をよく聞きます。
 そう感じる人がいるのも、決してうなずけないことではありません。しかし私は、収納家具を飾りとは考えたくないのです。
 収納家具は壁の一部分であるというのが収納家具に対する定義です。壁のなかに物が自然に収まっているのが、収納の理想だと思っています。もちろん飾りの要素がある収納、見せる収納が必要であるということも事実です。
 しかし、家具そのものが飾りであるべきだという意味ではありません。家具のなかに収納する物で装飾的な演出をしてほしいということです。家具のガラスの部分に、何かを飾るというように。
 それでもまだ、物足りなさを感じる人がいるかもしれません。何としても家具を飾りにしたいと考えるのでしたら、このようにしたらいかがでしょうか。
 収納家具については機能本位に考え、思い切って別に飾りだけを考えた家具をひとつ置くのです。つまり、収納家具と装飾家具を分けて考えるわけです。その方がずっと合理的とはいえないでしょうか。
 欧米では、この考え方が定着しているようです。ですから収納家具もユニット、システムのものがほとんどです。収納は機能的であることが最も大切だということでしょう。極論すれば、収納家具は壁の一部分であるかのように目立たないのが、その条件といえるかも知れません。
 そして飾りとして、飾りの要素だけ持つ家具を置いているのです。日本も、そんな考え方に近づいていってほしいものです。
 ひとつの家具で収納力も飾りの要素もという、一見合理的に見える考え方が、実はどちらも中途半端にしか満足させないものであることを知っておきましょう。
 これから住まいを新築しようと考えているのでしたら、ぜひユニット家具、システム家具を利用なさることをおすすめします。
 間取りを決めてから、それに合う家具を探すのではなく、収納する物を正しくリストアップしてユニット家具、システム家具を選び、その寸法に合わせて間取りを決めてはいかがでしょうか。そうすればスペースに少しの無駄もなく、必要なだけの収納家具がぴったりと収まります。作り付け家具と比べても遜色ないはずです。
 設計段階から収納計画を同時に進めていくという考え方が、収納にとっては理想的です。
 今までは、家ができ上ってしまうまでは、収納家具のことなどまったく考えないというのがふつうでした。収納スペースが少ないとか、スペースに合う家具がないなどの問題が起こるのも、そのためではなかったでしょうか。
 収納計画に基づいた設計を行いたいものです。

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