新築時の収納プラン

 収納計画は、住まいのプランを考える時、もっとも大切なことといってよいでしょう。そのためには、平面プランを作る段階で各室に必要なスペースを割り出さねばなりません。その場合、ほとんどの人が、収納スペースは押入れと考えてしまうのです。
 つまり、押人れは住まいそのものについているもの、という解釈をしているせいでしょう。
 だから、住まいのなかに収納スペースを取るとしたら、押入れしかないと信じこんでいるのかも知れません。そして、とにかく収納スペースを多く取りたいという希望をさんざん述べて設計をしたあげく、結局住んでみると押入れは使いにくい、ということになってしまうのです。
 たしかに押入れのスペースは、奥行き(90cm)もたっぶりあります。しかし、物をしまったら最後、実に収納した物は出せなくなってしまいます。
 そこで、出しやすいということを基本の考え方にして、各室の収納スペースを検討するということになります。
 その時に、必らずやらなければならないことはスペースをどのくらいとるかということではなく、収納スペースにしまわなければならないものはいったいどのくらいあるか、ということです。
 つまり、最初にスペースを考えて、それからどう物をしまおうかと考えるのではなく、まったく逆の発想で、最初にどれだけの物があるか考え、これだけの物を収納するためには、どれだけのスペースが必要かを考えるのが正しいのです。
 少なくとも、今までの暮らしのなかで、住まいのなかにある物を適確に点検したことはないはずです。だから、押入れのなかにある物で、まるで使われていない物もたくさんあるでしょう。本当は、どれもこれも、今はしまいこまれているけれど、最初は必要だったから買ったはずです。
 家じゅうの物を点検するというチャンスは、なかなかありません。ところが、新しく家を建てるということになれば、当然引越しをしなければなりません。いってみれば、それが最大のチャンスなのです。
 もし、この時に、思い切って、物の点検や整理をやってしまわなければ、あなたは一生収納整理を根本からすることができないかも知れません。
 今までの暮らしを、これを機会にひと区切りつけて、じっくりと収納整理の考え方を問い正してみる。それは新しく家を建てる時だからこそできるのです。

スポンサーリンク

 さて、思い立ったが吉日とばかり、物の点検をしようと一挙に家じゅうの収納スペースをひっくり返して、物を全部出してしまったら、おそらくすぐにいやになってしまうはずです。
 そこで、少しずつ場所を区切って、点検を進めていくようにします。物を点検するということは、実に気の長い仕事です。だから、飽きないようにしなければなりません。
 少しずつやって、確実に積み重ねていくという作業のやり方がもっとも、私たちには向いているようです。
 少しずつ場所を区切ってやる場合、大体のスケジュールを決めます。まず最初は玄関まわり、次に居間、台所、食器戸棚、寝室の収納という具合に、日程表を作って、一箇月後あるいは二箇月後には点検が終わるようにします。
 少しずつ分けて点検をすることの都合のよい点はもうひとつあります。それは、捨てる物をたくさん溜めないうちに処分することができることです。最近では、捨てる物が多くなるとお金を払って捨てなければなりません。トラックー台分で何万円という不要なお金が出ていくのです。
 点検をはじめるに当っては、ノートを一冊用意します。そして、一箇所、一箇所について、必要なもののリストを作っていきます。
 全部リストができあがったら、今度はそのリストをもとに、建てる家のどの部屋に、どれを収納するのかをグループにまとめます。
 つまり、このグループに分けるということが、使う場所に使う物を置くという収納の原則に大切な作業なのです。
 ここまでくると、どこに何を、どれ程収納しなければならないか、おおよそ見当がつきます。
 そこで、収納スペースをどんな形態にするかということに考えを進めていくことになります。
 例えば、本が多い場合は、もっとも数量の多い本の大きさに合わせて棚板の間隔、戸棚の奥行きを決めればいいのです。
 収納スペースを取るにあたっては、物が出しやすいことが原則ですから、物が何列にも並べなければならないようでは困ります。
 奥行きはなるべく物が一列に収納できるだけのスペースしかとらないことがポイントです。
 したがって、洋服を吊っておく場所では奥行きは60cmしか必要がないということになります。もうお分かりでしょう。各室とも収納スペースの奥行きは全部違うことになるかも知れません。
 これが、どの部屋も押入れだけで片づけてしまうわけにはいかないいちばんの理由です。平面図に、各室に収納される物から判断して、どの壁面に、どれだけの奥行きの収納スペースを、どれくらい取ればよいかを記入していきます。
 1/50くらいの図面にすると素人でもらくに書きこめます。
 これをやっておくと、押入れはいらないという部分では、それだけ部屋のスペースが広く使えるようになります。また、窓や、出入口が多くて壁がないような設計では、収納の面からはよくないということも事前に分かります。そこで設計そのものの練り直しをするということになります。
 また一方では、多過ぎる物の処分も考えなければなりません。それは、各室の収納スペースの取り具合で判断すればよいことです。
 どうしてもこれだけしか収納スペースがとれない、全部物が収納しきれない。そんな場合は、そのなかから、捨ててもよい物を選び出して処分するという考え方をするとよいでしょう。
 いただき物や、思い出のある物などはなかなか捨てる決心がつきません。しかし、最初の計画で使いやすい収納の仕方を考えた上で収納できないとなれば、理由なく捨てようとするより、はるかに捨てる決心はつけやすいはずです。
 順序を前後して別々に書きましたが、平面図に平面スペースを取ると同時に、そこに作る収納スペースの形態をも考えねばなりません。
 つまり、棚にするか、引き出しにするか、扉はつけるのかつけないのか、つけるとしたらガラス扉にするのか、木の扉にするのか、ルーバーにするのか、引き戸にするのか、開き戸にするのか、あるいはスライディングの吊り戸にするのか。
 ひとくちに、収納スペースの形態といっても、数えきれないほどの種類があるものです。そのなかから、どんな形態にするのかを決める作業は、必ず設計と同時に行なってください。
 つまり、ディテールを決めるということです。寸法も、床から天井までいっぱいに使うようにするか、あるいは低く、間口を広くするかを決めなければなりません。そこではじめて、本当の収納量と容積が決められることになります。

住まい暮らし生活
収納スペース/ 収納と整理/ 家族に必要な収納スペース/ 収納目的/ 収納位置/ 収納の基本/ 収納前の整理/ 家具と床面積の割合/ 食器になぜ来客用と家族用があるのか/ いい食器を日常的にも使う/ 収納と分類/ 空いているスペースはすべて使う/ 窓スペースを応用する/ リビングセットのスペースの応用/ 収納と捨て方/ 収納と飾り方/ 玄関の収納/ 居間の収納/ 子供部屋の収納/ 台所食堂の収納/ 寝室の収納/ 洗面所の収納/ 食器棚の収納/ 洋服だんす/ 整理だんす/ 書籍の収納/ 押入れには四通りの使い方がある/ ユニット家具/ 新築時の収納プラン/ 家具を壁の一部にした設計プラン/ 改築時の収納プラン/

      copyrght(c).住まい暮らし生活.all rights reserved

スポンサーリンク