家具を壁の一部にした設計プラン

 収納スペースというと、どうも、押入れ以外は家具というふうに考えてしまいます。もちろん家具といえば家具なのですが、それも、住宅の壁面に組みこんで作りつけてしまう方法と、すでにでき上った部屋のなかに、既製の家具を置くのとではまるで違ってきます。
 仮りに六畳の部屋があるとすると、壁面に作り付けてしまえば、六畳は六畳のまますっきり使えます。しかし、六畳の部屋に収納家具を置くことになると、実際には四畳半程度しかスペースとして使えないことになってしまいます。
 理想をいうと、特に新築の場合は、収納家具もいっしょに設計プランに組み込んでしまうべきでしょう。つまり、家具を壁の一部にしてしまうわけです。その場合、家具を取り付ける壁面には、当然、塗装などの表面仕上げは必要ありません。家具にかくれる部分ですから、下地のままで充分です。
 これなども、設計の段階で収納方法を決めることの長所です。家が建ってからだと、せっかく表面仕上げをした壁一面に家具をはめこむことになりかねません。各部屋でこうしたことが行なわれると、大変に不経済です。
 これは、作り付け家具だけではなく、それまで使っていた持ち込み家具についてもいえることです。手持ちの既製家具を使ったとしても、家具をはめこめるように、スペースを他にとってあるとしたら、それでも作り付けと同じように有効に使えるはずです。
 したがって、従来使っていた収納家具を、新しく建てる家に持ちこむ場合も同様に、部屋の必要スペース以外の場所に置けるよう、あらかじめ計画を立てておくべきです。
 ここで、持ち込み家具を、作り付け家具のように見せる方法を考えてみましょう。
 まず、壁面を利用して、それらの家具を横一列に並べてください。いちばん奥行きの深い家具に合わせて、扉を作ってしまうのです。
 つまり、扉の中に、もう一つ、家具の扉ができるわけです。奥行きの浅い家具との空間には、キャスター付きの家具などを置いて活用します。この場合の扉には、スライディングドアを使うと、いいでしょう。アコーディオン式に開閉するので、扉の厚み分だけのスペースで充分です。
 一見、ぜいたくのように感じるかも知れませんが、扉さえ閉じてしまうと、床から天井まで、なかはどのようにでも使えますから、バラバラに家具を置くよりもスペースの点でははるかに経済的といえます。
 この場合も、もちろん、壁の仕上げは必要ありません。

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 収納スペースといえば、すぐに思い浮かべるのが納戸ですが、その納戸が、少しも使いよくできていないという例が実に多いのです。
 なぜかというと、三畳ほどの小部屋を取って、しかも小部屋にかならずといってよいほど、かなり広々と開口部(窓)がとられているのです。
 三畳ほどの狭いスペースで、しかも窓があるのでは、家具の置場所も、棚を作りつける場所もまるでありません。それでは、何のための納戸か分かりません。
 納戸は、集中的収納スペースと考えてよい場所です。つまり、収納スペースが、それぞれ必要な場所に付けられることが理想だという原則からいえば、すぐに使わない物、あるいは、日常使う物であっても、足を運んで、それほど不便を感じない物などの収納場所と考えるべきでしょう。
 ただし、最初から、置き場所のない家具を入れる場所と考えるのは間違っています。納戸はどう使うかなど考えずに、とりあえず作って、後でどう家具を置くのか悩むという使い方をするケースが多いのです。
 せっかく作る集中収納スペースと考えるならば、やはり、納戸を作った時、何を収納し、どんな使い方をするかを決めてから、スペースを決めるべきだと思うのです。
 間取りを考える過程で、半端なスペースができたから納戸にというような考え方で納戸を作ったのでは、何のための新築か分からなくなります。
 それには、ただ家具の捨て場所のように放りこむというのではなく、全部の家具がそれぞれに使いよい、という原則が守られるように配置を考えた計画でなければなりません。
 集中収納といえば、ウォークインクローゼットがあります。これは、小さな空間の中に、直接入って着替えをしたり、収納をしたりする衣装部屋のようなものです。持っている衣類を、全部吊って収納できるようにしておく使い方ができるスペースです。
 家族の衣類全部、形がくずれたら困るもの、たとえば通常ハンガーに吊っておく物から、シーズンオフの物まで、すべて吊って収納することができたら、どんなに便利でしょう。
 箱に入れ替えたり、それをまた押入れやたんすまで運んだ手間を考えたら、これほどらくで便利な収納スペースはないといっていいでしょう。
 ウォークインクローゼットにしなくとも、それぞれの部屋で壁面一杯に、衣服を全部吊って収納できるように考えたクローゼットを作り付けてしまうという考え方も大変に便利です。
 納戸やウォークインクローゼットのような集中収納の方法のよい点は、物をかなり自由に、置けるということ。これは、必らずここに置かなければならないといった厳しい決め方をしなくてもすむことが、いちばんの長所といえるでしょう。
 それなら、押入れと同じではないかといわれるかも知れません。ところが根本的に違うのは、それでいて出し入れがしやすいということです。つまり収納スペースのなかに入って、物の出し入れができる点にあります。
 いろいろ、収納スペースにも考え方があるというのは、よくお分かりになったことと思います。収納スペースといえば、押入れ、またはたんす類しかないと思っていたことが、いかに間違いであったかがはっきりしたことでしょう。
 収納する物に合わせて、それぞれに違った収納スペース、収納の形態を考えなければならないということに、改めて気がついたことと思います。
 そうした計画は、新しく建てる住宅だからこそできるのです。最後に、住宅のなかだけではなく、物置についてふれておきましょう。
 最近では、住宅メーカーなどが、住宅を建ててくれた人には物置をプレゼント、といったサービスで物置をつけるなどということもあって、気軽に物置を庭の片隅に置くなどというケースが多いようです。
 家のなかに収まりきらないものは物置へ。本当は家のなかに物が全部収まるというのが当たり前なのに、気軽に作れるということで、はみ出したものは物置へ、と考えてしまうのは疑問に思います。
 物置は、はみ出した物を収納する場所ではなく、季節ごとに使う物、大型の物、かさばる物や捨てようと思っている物、戸外で使う物などの収納場所です。
 物置の設置場所は、最初から計画するのならば、勝手口をも含めて、屋根をかけ、物置までのサービスヤードも使えるようにした方が便利でしょう。そうすれば、雨の降った時でも、出し入れに困りません。
 物置に奥行きがある場合は、なかに入れるようにスペースをあけておくこと、また、なかに電気がつくようにすることなどがしまい忘れを防ぐポーイントです。
 その意味でも、正しく物の量を把握して、それが出し入れしやすい状態に収納できるように考えることが、収納計画の基本です。

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