改築時の収納プラン

 住まいの改造を考える場合、家自体古くなって危険な状態になる、家としての機能を果たさなくなる、あるいは家族構成の変化などにかなり不満が出てくるなどの要因が考えられます。
 不満の解決のなかであげられる要素のうちもっとも多いのは、。収納に関する不満です。そして、最初は、満足でスタートしたものが、何年か経て不満な状態になったというケースは実に少なく、たいてい最初から満足かどうかも分からないという状態でスタートしているのです。
 つまり、最初から、とりあえず、という収納スペースの作り方だったために、使ってみなければ不満の要素が分からないという性質のものです。
 その多くは、収納スペースは多ければよいと、とにかく広くと考えます。しかし、充分に取ったはずのスペースは、いかにもあっけなくすぐにいっぱいになってしまうのです。
 むしろ、充分にとることが、逆に物を増やすことに拍車をかける結果になってしまうおそれがあるのかも知れません。
 ある大学教授の話によると、年齢に平方メートルをつけた分だけ、物が増えているのが実状だそうです。
 その計算でいくと、33才だと33平方メートル、つまり170坪、20畳分の広さに値する物があるということになるわけです。もちろんこれは極論ですが、それだけ、年をとるほどに物が増え続けるということです。
 つまり、最初に住まいを手に入れた時から、収納に関する状況だけが数年で著しく変化してしまっているのです。
 おまけに、収納に関しては、たんす類や戸棚類を物が増えるたびごとに買い足しをするのが通例ですから、物ばかりか、家具もやたらに増えてしまっているのです。
 元来、収納スペースは、部屋の面積に合わせて考えられる性質のものです。押入れなどは、部屋の面積外に取られていますが、たんす類、戸棚類といった既製の単品家具は部屋の面積を次々と占領していきます。
 収納に関する不満のもとは、この次々に増えた既製の収納家具によるものが多いようです。家具の谷間に暮らしているような感じの家が実に多いのです。

スポンサーリンク

 そこで、収納の不満を解決する改造について、少し考えてみましょう。
 まず、最初にやらなければならないことは、いったい、現在の状況のどこが不満なのか、不満の源を確実に把握することです。
 収納の原則は前にも述べたように、使う場所に収納されることにあるのですから、各部屋とも、収納が理想どおりであるかひととおり点検してみる必要がありそうです。
 そして、日頃、何か探し物をするとか、物の出し入れをする時に不便を感じていないかなど、いろいろな点から見ると、収納スペースの状況がおよそつかめてきます。
 状況をつかんだら不満のもとをいくつかに分類します。
 使いにくいスペースを使いよくしたい。はみ出した家具を整えて部屋をすっきりさせたい。収納しきれない物をどこかにしまってしまいたい。
 おそらく、多くは、この三つに分類されるに違いありません。
 つまり、スペースを増やさなければどうにもならない。今まではその都度、収納家具を増やし続けたけれど、もう家具を増やすこともできないほど、いっぱいになっているのです。
 改造は、住宅そのものを、大幅に改造する計画の中に組みこんだうえで行なう場合と、収納スペースに関してだけ改造する場合とではまったく違ってきます。
 とはいうものの、収納に関する改造だけでも、結果、大幅な改造になる場合も多いのです。いずれにせよ、改造は、少しずつ思いつきでやるのは、絶対やめなければなりません。
 なぜならば、思いつきでやると、一箇所だけ直したために、よけいにおかしくなるというように、次から次へと不満が生まれることになります。
 でも、そんなに一度に大改造をしたら、お金ばかりかかって、とてもできないと反論されそうです。確かにそうかも知れません。だから、やるのは少しずつ、手がけられるところからでかまわないのです。むしろ、そのほうが、住みながらやっていくにはよい方法です。
 ただ、思いつきというのは、全体的な計画がなくて、一箇所だけ単独でやってしまうということですから、全体的にこう直すという計画の一部分をやるというのとは、根本的に違います。
 つまり、全体的な計画を立てるということは、収納に対する考え方を根本的に煮つめるということになるのです。
 全体的な計画に基づいたものであれば、収納スペースのごく一部分だけを改造したとしても、かなりすっきりするはずです。もちろん、建て替えなどの場合は、新築の収納計画と同じように考えればよいわけです。ただ、家をこわしてしまいますので、一時。物をどこかに預けなければなりません。
 物を預ける前ですと、かえって捨ててしまう決心はつけやすいものです。なぜかというと、物を預けるということは、倉庫などの場合は、容積でいくらと計算され、お金を支払わねばならないからです。
 つまり家のなかでは、お金を直接支払うということにならないけれど、お金を支払わされることになれば、拾てる決心がつくということなのかも知れません。
 さて、今現在の状況で、収納についての不満が分類されたら、ひとつひとつの解決策を考えるということになります。
 まず、物がはみ出している場合の収納場所ということから考えてみましょう。もちろん、はみ出している物を機械的にどこかに新しいスペースを作ってはめこんでしまうのは簡単でしょう。
 でも、それをする前に今収納されている物で不要品はないか、不要品を処分したら、今度は、はみ出した物を収納するスペースがどうしたら作れるかを考えてください。
 それをやらなければ、いくら収納スペースを増やしても、これで終わりということにはならないはずです。第一、その作業を行なってみたところ、改造しなくてすむということだってあるかも知れないのですから。
 次に、買い足しの結果、収納スペースが家具でいっぱいになってしまった時の改造についてです。この場合は、家具をなくすということがひとつのポイントになります。
 まず、家具以外の収納スペースは充分に活用されているかどうかを、具体的に調べてみましょう。例えば、押入れ、中途半端な物置など、そのいい例です。
 家具が増えたという理由の多くは、押入れなど中途半端な収納のスペースが実に使いにくくて、その結果、家具を置けば使いやすいだろうと、家具を買うことになったせいです。
 したがって、本来の収納スペース、押入れや、物置など、部屋以外にとられた収納スペースが完全に活用できるような改造計画をすることによって、家具をなくすことができるはずです。
 例えば、押入れは、90cmの奥行きがあります。本来は和風の寝具を収納するためにある収納スペースです。でも、その部屋は洋室でベットを置いているとしたら、何も90cmの奥行きは必要ありません。
 間取りによっては、隣室との境に押入れをとっている場合が多いようですが、ひとつの改造の方法として、一方の部屋では60cmの奥行きの収納スペースをとり、一方の部屋では、30cmの収納棚を作るようにするということも考えられます。
 もちろん、収納する物、どんな目的の収納スペースにするかで、奥行きの配分などは変わってくるでしょう。
 しかし、ごく一般論でいえば、一箇所90cmの奥行きがあるために無駄になっている、つまりデッドスペースになっている場所を、両側からスペースを分け合うことによって、まったく無駄をなくすことを考えるべきだと思います。
 押入れや物置などのようにはじめから収納スペースとして作られていながら、充分に生かされていないところは、まず改造の対象として、徹底的に検討してみることが大切です。
 例えば、マンションなどによくある例ですが、間口が90cmで、奥行きが深く1m近くもあるなどという例があります。これでは、まったく使えない収納スペースといってよいでしょう。
 そんな場合も、逆に、奥行きの方をあけることが可能な状態ならば、奥行きの方を扉にして、従来の扉部分を壁面にしてしまう方法もあります。
 一方、収納スペースをとり払ってしまって、既製の家具をはめこんでいくということも考えられます。
 既製の家具をはめこんでいく場合は、たんすなどのように、ひとつひとつ単独で作られた家具ではなく、ユニット家具、システム家具といわれるものを選ぶことです。
 それも、できるだけシンプルで、できるだけ一般的な材料を使っているものを選ぶことがポイントです。
 なぜかというと、改造の場合は、新築と違って、家具に合わせてスペースを設定することができないからです。
 もちろん、いかにシステム家具、ユニット家具でも、従来の収納スペースを取り払った後にぴったりと置けるわけはありません。必らず半端なスペースができるはずです。
 その時に、シンプルなデザイン、一般的な材料を使った物を選ぶという意味が生きるのです。
 半端なスペースを生かすために、その部分だけ造作家具として作る時には、材量、デザインともに、他の家具と合わせた方がいいに決まっています。
 その場合、できれば、その家具と同じ面材(表面に使った材料)が手に入れば、まったく、全部注文して作らせたような感じに仕上がるはずです。
 ユニット家具や、システム家具を買った場合、その面材をわけてほしいと頼めば、たいていわけてくれます。それを使って、中途半端に空いたスペースが埋まるような、新たな収納家具を作ってしまえばよいわけです。
 既製の家具を置く場合は、家具プラン造作ということになりますが、予算がある場合は最初から、そのスペースぴったりに、収納家具を作り付けてしまうようにすればよいわけですから、その方がすっきり仕上がります。
 また、従来の収納スペースでは足りないので、どこかに増やそうとする場合は、デッドスペースを何らかの形で活用することでスペースを増やす工夫をします。
 例えば、台所が丸見えだから、見えないように仕切りたい、などという場合、仕切りをハッチにしてしまえば収納スペースが一挙に増えることになります。
 ハッチにしなくても、床から天井までを仕切り兼用の収納スペースとして作り替えればよいということです。
 台所や、食堂セット周辺の収納スペースなら、普通、食器を収納することになりますので、食器類ならばそう奥行きを深くする必要はありません。
 せいぜい深くて30cmもあれば充分です。25cmでもだいじょうぶです。そうなるとただ置いただけの家具では不安定ですから、床と天井で固定することになります。
 また、本当に浅い10cmくらいのスペースしかとれないとしても、大きなお皿を立て掛けるように収納する棚にするなど、間仕切り兼用の収納スペースは、かなりの収納量が確保できるはずです。
 また、本などの場合は、階段の壁一面に本棚を作り付けてもよいでしょう。廊下の壁もまた活用できます。
 本棚の奥行きは正確に計算しなくても、新書版や文庫本などは奥行き15cmあれば充分ですし、20cmもあればたいていの本は収納できるはずなのです。
 仮りに廊下の幅90cm、階段の幅を90cm取ってあったとします。そのうちの30cmを収納棚にとられてしまっても、残り60cmあれば人は歩けます。考えてみると、計画的に収納スペースの割りふりをしていけば、まだまだ活用できる場所はありそうです。
 それにしても、無計画は最大の敵。しっかり、全体計画をたててから改造をスタートさせることが大切です。
 そして、家具類を、次から次へと買い足すことだけは、これから先も避けたいと思うのです。少なくとも部屋は、部屋の広さいっぱいに使うのが原則だということを充分認識してほしいものです。
 物にふりまわされての収納を考えるということが、危険だということです。
 もし、家具を買うとしたら、後でどんなふうにでも使い方を変えることができるユニット家具が適していると思います。

住まい暮らし生活
収納スペース/ 収納と整理/ 家族に必要な収納スペース/ 収納目的/ 収納位置/ 収納の基本/ 収納前の整理/ 家具と床面積の割合/ 食器になぜ来客用と家族用があるのか/ いい食器を日常的にも使う/ 収納と分類/ 空いているスペースはすべて使う/ 窓スペースを応用する/ リビングセットのスペースの応用/ 収納と捨て方/ 収納と飾り方/ 玄関の収納/ 居間の収納/ 子供部屋の収納/ 台所食堂の収納/ 寝室の収納/ 洗面所の収納/ 食器棚の収納/ 洋服だんす/ 整理だんす/ 書籍の収納/ 押入れには四通りの使い方がある/ ユニット家具/ 新築時の収納プラン/ 家具を壁の一部にした設計プラン/ 改築時の収納プラン/

      copyrght(c).住まい暮らし生活.all rights reserved

スポンサーリンク