外壁に現れる現象と補修工事

 木造住宅の外壁を仕上げてある材料や工事の方法は大別するとモルタル塗りやタイル張り、小幅板や化粧合板を張ったもの、石綿ボードや金属板などを張ったものなどにわけられます。
 モルタル仕上げの外壁は防火性があるのと外観がよいので、市街地ではよく見かけます。モルタルの面をセメント系や合成樹脂系の塗材を吹付けて美しく仕上げてあります。
 モルタルを塗り付ける下地は、普通、間柱や柱の上に板や耐水合板を打ち付け、その上に防水紙とラス網という金網を張り、金網の上からモルタルを二、三回にわけて塗り付けます。板や合板を張らないで特殊な金網やボードを間柱や柱の上に取付けて、その上から直接塗る工法もあります。
 タイル壁はモルタル下地の上にタイルをセメントや接着材を使って張りつけます。
 板張りは小幅板を横方向や竪方向に釘で打ちつけた壁です。板と板は継手を本実や合欠きに加工して重ねてあり、仕上げはペンキやオイルステンなどの塗装を施します。板張りの外壁は最近あまり見かけなくなりましたが、地味な美しさがある壁です。
 耐水合板の上に耐久性の仕上げを施した化粧合板張りの壁があります。板張りのような加工の手間がはぶけて便利なのでよく使用されています。
 新建材の壁では化粧合板もそうですが最近ではサイディングボードといって、石綿ボードや金属板を加工して表面を化粧しか材料が多くなりました。外壁に張るのに版と版の継目に特殊加工を施してあり、コーキング材を充填して雨仕舞いをします。

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 現象として、モルタル仕上げの外壁の故障は、竣工後一、二年の間にヒビ割れという現象で現われてきます。ヒビ割れは次の個所によく見られます。窓の廻りの四隅。開口部上部の小壁の中央附近。庇や軒の廻り。壁面の全面。
 板張りの壁は材料の乾燥の度合により、板と板の重ねや継ぎ目に隙が出ることがあります。雨仕舞いのよくない部分は腐れが見られたり、乾燥する所は割れたりします。
 石綿ボードの壁は継ぎ目が口を開いたり、ボード自体の割れなどがあります。
 木造住宅のモルタル塗りの壁は、ヒビ割れがまったく見られないということは、まずないといってよいでしょう。これはモルタルという材料および工法の性質と、下地の木材の歪みや収縮によって起るものですが、前にものべた、基礎や軸組等の構造的な変形によって発生することも考えられますので、その方にも注意を向けて下さい。タイル壁のヒビ割れもだいたいはモルタル壁と同じような理由からです。
 また、壁のヒビ割れを発見したら割れの幅や長さを測っておいて、後日その変化を調べて下さい。程度がひどくなるようでしたら構造的な点検も必要です。古いモルタル壁の場合は、雨水の浸入によってラス網やとめてある釘が腐蝕して、モルタル壁が全面的に剥がれることがありますので、壁面の浮きに注意します。
窓廻りの四隅にヒビ割れの場合、窓その他の開ロ部に外力が加わった時歪みができて、開ロ部の四隅のモルタル壁に割れが発生することがあります。この割れの防止のために、窓の廻りに斜めに針金を入れたり、ラス網を増したりして工夫はしていますが、全然なくなるというまでにはいたっていないのが現状です。なお開口部廻りの木製枠が雨で膨張して入るヒビ割れもあります。
 開口部上部の小壁の中央付近や庇や軒廻りにヒビ割れの場合軸組の項でのべたように、桁や梁の下りを考えます。また開口の間口が広い場合、上の小壁がモルタルの重量で下ることもあります。
 壁面の全面にヒビの場合、壁全面のモルタルのヒビ割れは大別すると前にのべたほか、下地に原因するもの、モルタル塗りの施工不良によるものなどがあります。
 下地によるもの、下地板の釘打ち不良や板の反りなどです。板の反りは雨の浸入等によって起りますが、雨仕舞いの項でのべるように屋根と外壁の接続部分が多いようです。また、ラス網の張り方、特にその継目の処理が不良な場合、その継目にそって割れが生じます。
 施工によるもの、菱形状に出るヘヤークラックは(毛のような細いヒビ割れのこと)、モルタル塗りの厚さ不足が原因の場合もあります。その他ヘヤークラックの発生は種々の原因がありますが、次のモルタル塗りの壁の項を参照下さい。
 乾燥不十分な板を張った壁は、一、二年の間に板の幅が狭くなって、重ね目に隙間が出てきます。逆に乾燥十分の板は雨期には、壁面が盛り上ることがあります。
 年月が過ぎると板の脂がなくなり、板が割れやすくなったり、水切れの悪い所は腐朽が見られるようになります。塗装をしてありますと、表面はそのままでも中で腐っていることがありますから、要所要所には錐などを通して見て点検して下さい。
 ボード等は工事中の衝撃で割れていたものを、表面を吹付けなどでうまく繕ってある場合もありますからよく点検して下さい。また、目地に充填したコーキング材が切れたり、痩せたりして隙ができ、壁体内に雨水が浸入することがあります。
 ヒビ割れ個所より雨水が入って、ラスの金網や釘を腐蝕させたり、冬季は水が凍ってモルタルの割れを大きくする場合もあるので、早めにコーキング材で埋めておいて下さい。割れを埋めるには錐やドライバーなどで浚えた後にコーキングします。コーキング材はセメント系のコーキング材や樹脂系コーキング材などを使用しますが、樹脂系のものは後日変色します。
 ヘヤークラックがいく本もあって修理のコーキングの跡が見苦しい時や、モルタルの塗り方不良と思われるものは、もう一度吹付けをするか、塗装をするよりほかはなさそうです。ただ水性の塗料は前の色に合わせるのが非常にむずかしいので、残る壁の色との境は注意を要します。また、吹付けによって飛散した塗料で隣家を汚すことがありますから、吹付けよりもむしろローラー刷毛による塗装の方が無難です。もし塗料が他に附着した時は、ただちに水で拭き取っておきませんと、後では落ちなくなります。
 隙のあいた仮は、釘を抜いて張り直しをします。外壁一面を張り直しますと、板の幅が縮んだだけ枚数が不足しますので、新しい板を足すことになります。新しい板は前の板と色が合わないので、なるべく目立たない所に張るようにして下さい。なお、割れたり腐ったりした所は、悪い部分を切り取って替えたり、腐った所を浚ったりして合成樹脂系の充填材で埋め着色します。
 以上のような場合は塗装が剥げていることが多いので、表面の塗り直しをしますが、板の色のちがいなどは色の調節である程度めだたなくできます。
 ボードの割れの小さな所は合成樹脂系のコーキング材で埋めます。大きなものや深い傷の場合は、ボードを一枚ごと取替えることになりますが、剥がす前に同じものの市販の有無を確かめます。

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