内外塗装で現れる現象と補修工事

 木造住宅に使用する塗料の種類はたいして多いものではありませんが、それでも場所や目的によって数種類に分けられます。一見表面的には同じと見える塗料でも、原材料はまったく異なっていることもあり、したがって扱い方もちがってきます。塗装する相手の材質別、場所別に、塗料の種類を考えて見ます。
 板張りの外壁や屋根の破風板および鼻隠し板、窓の廻りの木枠や木格子などの塗装には次のようなものがあります。

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 オイルステン - 外部のオイルステンは木造住宅特有の塗料といってよいでしょう。木肌の木目が見えるこげ茶色糸の塗料で、本の素地の色に近いものや濃い目のものまであります。少量の顔料を油で溶いた塗料で、木材に浸透して地味な美しさを見せます。
 外部用ワニス - 前記のオイルステンの上に塗って光沢を出すのに使用しています。外部用のものは油性のものが主ですが、光沢は一年くらいで消えます。
 油性調合ペイント - 従来からのペンキ塗料といわれているものがこれです。木の表面に皮膜を作って材料を保護隠蔽すると同時に、色彩が豊富で建物の美観上有効です。ただし、モルタルなどのアルカリ性の部分には塗れません。大豆油などの天然油を使ったものと合成樹脂系のものがあります。
 水性ペイント - 合成樹脂系の塗料で水性なので素人にも使用ができます。最近では油性ペイントのかわりに外部にも使用されています。
 屋根のカラー鉄板やフェンスなど外部の鉄製品は、材料そのものがあらかじめ塗料を焼付けしてあるものが多いのですが、月日を経過すると二度目からは普通の塗料を塗ります。
 錆止めペイント - 鉄部の表面を塗装する前に、錆を落して錆止めペイントを塗ります。
 油性調合ペイント - 前記木部と同様です。
 トタンペイント - 調合ペイントに錆止めの効果を加えたもので、屋根面などを塗る時は便利です。
 住宅内部の住や床板または家具など、すべての木部はなんらかの塗装が施されています。
 クリアラッカー - 家具や床板やその他の木部の表面に塗られる透明な塗料です。固い被膜ができ、上品な光沢があるのでよく使用されます。ステンや目止めで着色した木肌の上に塗ります。
 ワニス - クリアラッカーと同じような所に使用されます。
 ポリウレクン樹脂塗料? - 最近はクリヤまラッカーやワニスにかわって用いられるようです。外部用にも使用できます。
 油性調合ペイント - 外部木質部と同じような使われ方をします。浴室の木部等に塗られています。
 ワックス塗り - 白木の部分の汚れない内にワックスを塗ります。また、ワックスのかわりにクリアラッカーを薄く塗ることもあります。
 内部の塗装は合板や石膏ボードあるいはプラスター壁の上に、塗装を主とした仕上げを行ないます。
 塗料のほかに吹付け材や繊絶壁の左官用の仕上げ材もあります。最近では塗料か左官材か区別のつかない厚塗りの塗材も出ています。
 水性ペイント - 普通の部屋の壁は光沢のない酢酸ビニール系のもの、浴室の壁や天井などには耐水性があり多少光沢のあるアクリル系のものを使用します。
 吹付け材 - 水性ペインとの材料に各種の混合物を入れて、砂景状の吹付け材として各メーカーから市販されています。
 外壁のモルタル塗りの壁は吹付け材を、主として圧縮空気を使って吹付けます。材料はメーカーが独自で配合した製品ですが、細かい砂状の物質が入っているリシン吹付け材として、セメント系のものと合成樹脂系のものがあり、厚塗り用の塗材もあります。
 外部の塗装は風雨や日光のために、施工直後から風化をはじめます。オイルステンは比較的丈夫な塗装ですが、それでも一年くらいで表面の艶はなくなります。特に西側の風雨の当る所は艶ばかりでなく色も薄くなることがあります。四、五年もすると全体に油気がなくなり、色も白っぽくなってきます。
 外廻りの木部のペンキ塗装は、早晩表面がヒビ割れを起し剥がれることになります。ラワン材の部分は特に早く、一年以内にヒビ割れや剥離することが多いようです。
 屋根等カラー鉄板の塗装 - カラー鉄板の塗装面は割合に耐久力のあるものですが、それでも四、五年経つと錆が出始めます。工事中の傷でもあれば一年以内でも錆を見ます。
 フェンスおよび窓格子等 - 焼付け塗装をしたものでも部材と部材の接合部分は錆の出やすい所です。埃等を除いてみますと錆を見ることがあります。
 内壁の塗装面に表われる現象として目につくのは、ヒビ割れと塗膜の剥がれがあります。
 吹付けた外壁の表面に、ヒビ割れを見ることがあります。また、古い壁を吹直した場合、表面の皮膜が剥離することがあります。
 オイルステンの上に追ってあるワニス等の光沢が続く期間は、せいぜい一年くらいです。特に風雨の当る所は早く光沢を失ってゆきますが、ワニスを塗っていないオイルステンそのものも退色が見えます。
 材木の表面に塗ったペンキの塗膜は木材の収縮や割れなどのために、ヒビ割れを起したり剥がれたりすることになりますが、ラワン材に塗ったものは特に早く現われます。ラワンの表面には細い導管が無数にあり、被膜がこれを塞ぐことによって剥離が早く起ります。塗装はむしろ浸透性のあるオイルステンの方がよいでしょう。
 外の鉄部に塗ったペンキの寿命はせいぜい二、三年です。特に水の垂れ際や、水の溜りやすい所は毎年点検して下さい。
 内壁面のヒビ割れは、塗装に原因がある場合は少なく、むしろ下地材に原因があることが多いようです。
 塗膜の剥がれは下地の塗り壁、たとえばプラスター塗りなどがよく乾燥しない内に塗装した時に起ります。
 剥がれのもう一つの原因は、古い壁を塗装し直した時、もとの壁の面の処理が不十分のため新しい塗膜が遊離したり、または古い皮膜が新しい塗膜に引っぱられて剥離した時に起ります。
 吹付け面のヒビ割れは、下地のモルタルの割れが原因であることが大部分です。吹付けの皮膜そのもののヒビ割れや剥がれは、下地のモルタルの乾燥不十分な時や、冬季の吹付けで凍結した場合等の原因によることが多くあります。また既存の壁を吹付け直す場合、前の壁面の浮きや汚れをそのままにして吹付けますと、後日表面の剥離を起します。
 塗装の仕事は一見やさしそうで、自分でも簡単にできるように思われがちですし、参考の図書や素人向けの道具や塗料も多く出廻っています。しかしそれらを購入して書いてある通りに施工しようとしますが、いざ刷毛を手に取って塗り始めても、なかなか思うようにいかないのが実情です。
 仕上げの工事はどの工事でもそうですが、ことに塗装工事は表面の仕事にかかる前の準備、すなわち下地の処理と養生が大切です。この段階の仕事が終れば、塗装の工事は三分の二くらいの工程が終ったと思ってもよいほどなのです。特に補修個所の塗装や塗り替えの仕事は、普通の塗装工事で行なう仕事のほかに、前の塗膜の剥がしとか、塗料の選び方、もとの色との合せ方、下地の整え方、他の部分との継目の処理とか、むずかしい問題が多くあります。
 次に各塗料別に、留意すべきことを二、三説明します。ただ具体的な塗装の方法等については、参考書等によって研究して下さい。
 オイルステンは前記のように割合に耐久性のある塗料なので、外壁等の場合でも三〜五年くらいの局期で塗り替えればよいでしょう。ただ風雨に当って退色のいちじるしい所は、その面だけ先に塗り直す必要も出てきます。塗り替えの色は多少薄めにして、調子を見ながら塗って下さい。油に顔料を入れすぎるとペンキになってしまい、木肌を隠してせっかくのオイルステンのよさがなくなってしまいます。塗装店に頼む場合は、塗る面と同じ木片などに見本塗りを作ってもらい、色の調子を確かめそれを後まで保存しておきます。これは他の塗料でも同様です。
 木質部の塗装を塗り替えるに当って、まずもとの塗装を剥がします。剥がす方法は鉄製の爪を使ったりワイヤーブラシで擦ったり、また、剥離剤を塗ったりします。ただし剥離剤の使用は目に入ると危険ですから、専門家以外は用いない方がよいかも知れません。塗装は二回に分け、一回目すなわち下塗りは白を基調にしたペンキでもとの色を隠蔽し、その上に仕上げの色を塗ります。これはもとの色が仕上げの色に反映するのを防止するためですが、もとの色が薄い場合は特に必要です。そしてこれは他の場合の塗り替えにもいえることです。
 カラー鉄板の屋根や庭のフェンスなど、焼付け塗装の表面は、新しい間は油性ペイントを塗っても剥がれてしまいますが、四、五年して表面が風化し錆が出始める前に、油性ペイントで塗り替えます。部分的な錫があればそれを落し、ワイヤーブラシやサンドペーパーなどで表面を荒した後、布などでよく清掃しておきます。下地の荒しや清掃が不十分ですと、後で塗膜の剥離を起すことがあります。錆のひどい時は錆止めペイントの下塗りをしますが、たいていの場合は錆止め入りのトタンペイント塗りでよいでしょう。
 下地用ボード等、下地の処理は内部仕上げ(壁)の項でのべましたが、塗布面はサンドペーパー等をかけその後を布などで清掃しておくのは前項と同様です。また塗り方も下塗りと上塗りの二回に分けて塗ることも前項と同じですが、最近では隠蔽力の強い一回塗りの塗料も出ています。
 既存の壁の面を吹付け直す時は、もとの壁の浮きや剥がれをワイヤープラシ等で十分落し、ヒビ割れの個所も充填材で埋め、シーラーまたはプライマーで壁面を固着させてから施工しませんと、後で吹付け皮膜のヒビ割れや剥離を見ることがあります。特に前がセメント系の吹付け面に施工する時は、十分な処理が必要です。また浮きや剥がれのない時でも、表面の塵や埃を水洗いしたり、シーラーでの固着は必要です。外部の吹付け工事は塗料が飛散して隣家の建物に附着したり、自分の住宅の他の部分を汚したりして、後では絶対に落ちなくなりますので、そのつど水で拭いておきます。補修の工事には吹付けより、むしろ、塗装用の塗材をローラー刷毛を使って塗った方が無難かもしれません。

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