住宅の断熱

 住宅を建築する際に断熱の工事を行なうのは、今日では普通のことになっていますが、断熱の効果や目的を理解した上で日常の生活をしたいものです。
 住宅の建築で断熱を必要とする個所は、冬季室内から暖気が逃げてゆく所、逆に夏には外から熱気が入ってくる場所となります。具体的にいえば建物の隙間や換気や部屋の出入の際などによる熱の損失と、建物の構造自体からの損失とがあります。断熱材メーカーなどから出ている説明書などには、住宅の各個所からの熱損失の割合が出ていますが、その数字はいろいろあって一定してはいませんが、大様は次のようになります。もっともこの数字は換気や出入等による損失は少なく、構造体からの損失の数字の方が多く書いてあるものもあるようですが、これはメーカーの説明としてはある程度は仕方がないことかも知れません。
 住宅での熱の損失の割合は、断熱工事のしていない建物については、いまのべた換気や出入等によるものが全休の損失の三分の一から四分の一くらい、建物構造自体からは三分の二から四分の三くらいの熱の損失ということになっています。ただ建物の構造の気密性が高くなっているので、この割合は前者の方が少なくなる傾向があります。

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 構造自体から逃げる熱の全休を一〇〇%としますと、そのうちの壁の部分からの熱の損失は通常四〇%から五〇%といわれています。もっとも部屋の内部から見ると外に面した壁はたいてい二面くらいで、それらその大半は窓ガラスの面となります。そしてガラス面から逃げる熱の損失は壁の部分のまた半分くらいとされています。
 壁体の間柱と間柱の間に断熱材を入れます。断熱材は一面を防湿層、他の面を通気性のあるカバーで覆ってありますが、原則として防湿層の方を内側すなわち部屋側に密着させ取つけます。断熱材の厚さはグラスウールを使用する場合は五センチくらい必要とされていますので、壁体内の間一〇センチの所へ入れた場合は、少し余裕があるはずです。これが壁体内の通気のスペースともなるわけですが、実際はほとんど隙がありません。
 壁体内に断熱材が取付けてあるか否かを点検するのは、実際問題としてなかなか困難です。天井裏の壁の上部や床下から見える場合もありますが、天井裏に敷いた断熱材で隠れていることが多いでしょう。
 断熱材を入れることによって室内側の壁面の結露は減少しますが、同時に露点が断熱材の中に移りそこで結露してしまう場合も出てきます。したがって断熱材は湿気の浸入を防ぐためにもなるべく切断して用いず、取付ける所の寸法に合った大きさのものをそのまま使用すべきです。
 もし結露があれば、壁体内での通気を屋根裏を通じて発散させることになるので、天井裏での断熱材の敷き方にも一考を要しますが、これはまだ検討の余地がありそうです。しかしながら壁体内の結露をおそれるあまり、断熱効果をそこなうのも得策ではありません。以上のことは壁体内の通気が二階の床で塞がっているツーバイフォー工法では、なお二層の検討が必要でしょう。
 また、結露の他に雨漏りや浴室等の水仕舞いの不良で断熱材に湿気をもちますと、断熱材の断熱効果が減少するばかりでなく木材の腐朽の原因にもなります。また、通気による湿気の蒸発は壁体内で気化熱をうばい、部屋側の壁面を冷却することも想像できます。特に浴室廻りの壁に断熱材を入れない方がよいとするのも以上のような理由からです。
 屋根裏からの熱の損失は二〇%前後といわれていますが、冬季の熱の損失と同時に夏季の熱の貫入も考えなくてはなりません。
 断熱材は屋根裏で野地仮に張る場合と、天井板の上に張る場合がありますが、だいたいは防湿層を下にして天井板の上に張るのが本当です。
 天井の断熱材の有無や工事の状況を点検するのは、天井の改口からのぞけますので比較的簡単です。時には張らずに一個所に放置してあったり、端の方では張っていない所もありますから注意して見て下さい。
 下の部屋から昇る湿気や、時には屋根裏の換気孔より入る雨によって、断熱材が湿ることがあります。壁の場合と同様に防湿層を天井面に密着させて張り、万一湿気をもった時は小屋裏の換気孔から発散させます。浴室の天井には、壁と同じ理由から断熱材を張らない方がよいでしょう。
 既存の住宅で床の断熱工事が少ないのは、屋根のように幅射熱の影響を受けないということと、畳敷きの部屋が多くて必要がなかったからかも知れません。しかし洋間の敷が多くなった昨今では、ぜひ断熱工事をしたいものです。
 床からの熱の損失はだいたい一〇%前後といわれています。屋根や壁からの損失と比べるとだいぶ少ないようですが、人間の肉体や感覚にあたえる影響はなかなか大きいものがあります。
 床に近い所と天井附近とでは、温度の差が五度近くになることはざらにあります。また、床は人間の肌すなわち足の裏が常に接する所で、しかも体温より低いわけですから、冬はもちろん夏季でも肉体に相当な違和感を与えます。
 床の断熱材は床板の下すなわち床下に、防湿層を上にして床板に接して取付けます。下面は合板などで全面を覆ってしまわないで簑の子状にしたり、針金などで釣るようにしておき、通気に気をつけて下さい。
 床下の断熱材の有無は基礎の通気孔からのでいて見ればたいていはわかりますが、前記のように下を合板などで覆ってある時は、床板と区別がつかないことがあります。
 床下の断熱材が湿気をもつと根太や土台の腐朽の原因になります。床下の通気に気をつけて、下部が合板で覆ってある時は合板に通気の穴をあけて下さい。
 熱が逃げるとか入るとかいうのは、熱の高い所から低い方へ移動することです。この移動は対流や伝導や幅射およびそれらの組合せによって起ります。したがって、断熱材にはこれらに適応できる材料が要求されます。特に熱の伝導率の小さいもの、すなわち熱の伝わりにくい材料を加工したものが、断熱材として有効なことはいうまでもありません。
 いま、熱伝導の小さいものから名前をあげますと、空気、畳、木材、水、ガラス、コンクリート、鉄などの順になります。したがってこの空気を、いろいろの材料で細かく包み込んだものが最良の断熱材といえます。たとえば発泡ポリスチレン、グラスウール、ロックウールといったものです。これらは空気の対流を防ぐために隙間を気泡等により細分化したものてすが、あまり粗いふわふわしたものよりある程度密度のあるものの方がよいといわれています。
 市販されている断熱材は、着色したガラス繊維をシートでカバーをしてロール状に巻いたものや、マット状のもの、岩石や鉱砕を繊総状にしたロックウールを使用したものや、発泡させた合成樹脂系のものがあります。最近ではホースで注入する総状の防熱材も開発されています。マット状のカバーは片面を防湿層とし一方に通気性をもたせ、厚さは五センチ内外必要とされています。なるべく耳付きの断熱材を選び、取付ける個所に隙間なく、しかも切断しなくてよい寸法のものを使用します。
 既にある住宅の天井裏に断熱の工事を行なうのは、割合に容易にできます。天井の点検ロから小屋表に半身を入れることができれば、ロール状やマット状の断熱材を細い竿等で隅の方まで押し入れます。掃除機等で天井面を清掃してから、電線等に注意して防湿層を下に密着するように置きます。また、ホースで吹付ける方法もあります。
 既存の壁の中に断熱材を入れるのは、断熱材をホースで壁体内に注入する方法以外はほとんど不可能です。
 前にのべたように部屋の周囲の壁のうち外に面しているのは多くても二面で、しかも窓ガラスの部分がありますから、むしろ壁から逃げる熱を気にするより、ガラス而の断熱を心がける方が有効でしょう。たとえば断無用の雨戸に替えるとか、厚手のカーテンを取付けるとかです。
 床の断熱工事は一階の床の場合は可能です。床下を点検する要領で床下に入り、断熱材を根太と根太の間に防湿層を床板に密着させて取付けます。取付け方は根太と根太の間に針金を渡したり、板をスノコ状に張って下面を文えます。

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