ごみ処理場の建設に反対できるか

 郊外のA市は人口増加がいちじるしく、Bさんの近くに屎尿処理施設とゴミ処理施設を併設したセンターができることになりました。Bさんは、飲料水を川沿いの井戸からとっており汚水を流されると大変なので、市の係をたずねたところ、係員は「脱臭装置、汚水浄化装置をつけるから大丈夫だ。また、これは公共のためだからがまんしてくれ」といわれたが、黙っていなければならないのでしょうか。

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 このような施設が建設された場合、屎尿処理施設から排水される汚水によって、生活ができなくなったり、またゴミ処理施設からは臭気のみならず、亜硫酸ガスの他各種有毒ガスが発生し、健康や周辺の作物への悪影響が予想されます。これらの被害はまた、長期間にわたって継続し、しかも、この被害は金銭によっては、とうてい回復しえない深刻なものです。
 しかしながら一方では、私たちが社会生活を営む上で、このような施設がなくてはならないものであり、その意味で公共施設といえます。したがって、このような例は公共の福祉と個人の権利が、まっこうから衝突する例かと思われます。
 裁判所では、住民からの、「環境衛生センター」建築禁止の仮処分申請に対して、屎尿処理施設およびゴミ処理施設の各構造と、それらから排水、排出される苛性ソーダ、排ガス等の質と量、それらの排出先の地形および河川等の状況、それらが大気汚染防止等の関係法令の基準をこえているか否か、それらが住民の健康等に及ぼす影響を検討したうえで、なお建築される建築物が公共性を有するところから、建設予定地を選定するに至るまでの経緯、生活妨害がさけえないかどうか、地方自治体として被害をうける地元側の意見をも十分聴取したか否か、補償措置や公害監視体制についての話があったか否か、価他の土地の物色、検討に努力を尽くしたうえ、やむなくこの土地を選定したのか否か等を比較検討しなければならないとし、このように検討した結果、住民の申請を認容する判決が出ています。
 この判決で注目すべきことは、環境権という言葉は用いなかったにせよ、実質上それに等しい内容を住民の権利として認めたことと、公害発生源の施主である地方自治体に、厳格な手続上の義務を課したことです。この判決の発想は、公共優先の名による住民側の一方的な受忍を否定し、むしろ住民参加の方向を指向しているといってよい。
 このような事例は、今後ますます増えてくるだろうと思われます。
 なお、工場からの汚水、ばい煙、粉じん有毒ガス、悪臭等の発生については、各都道府県条例で規制規準が規定されており、これらの基準に違反している場合には、改善命令警告が発せられ、さらに、これに違反した場合には、工業用水等の給水停止命令等が発せられ、さらにそれに違反した場合には、罰則が科せられることになります。
 したがって、既存のエ場による被害等に対しては、これらの公法的規制を発動させるよう運動することも大切なことです。
 すでに損害が発生している場合には、損害賠償請求のできることはいうまでもありません。

住まい暮らし生活
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