工場の騒音で夜も眠れないときの対抗法

 停年退職をしたAさん夫婦は、何十年も前から住んでいる静かな住宅で、孫達が遊びにくるのを楽しみに暮らしていました。最近、隣接地に小さな町工場ができて、早朝から深夜まで仕事をしており、その騒音で夜も眠れず、血圧もあがってノイローゼ気味です。
 なんとか、朝晩だけでも、操業をとめてもらう方法はないものでしょうか。

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 騒音、振動についての規制は公法的な規制と私法的な規制があり、この両者の関係について、判例は、公法上の規制基準が存する場合には、原則として基準をこえれば私法的にも一般人が受忍すべき限度をこえており、逆に規準に達していない場合には受忍すべき限度内にあると推定するのが相当であるとしています。
 なお測定地点の問題点ですが、公法上の規制規準は、敷地境界線で測定されることになっており、私法上のそれは、住生活に対する侵害という観点から居室内を測定点にしています。したがって、音量基準を同一にすることは必ずしも妥当でなく、家屋内の基準値は、境界線のそれよりは、いくらか低く考えるのが妥当でしょう。
 これを具体的に考えてみると、たとえば、東京都にかいては、騒音、振動は公害であるとして、東京都公害防止条例において騒音については規制規準を定めたうえ、これに違反したものに対しては、都知事は、騒音防止の方法、建物もしくは施設の構造もしくは配置、作業の方法の改善等を命じることができ、さらにこの改善命今に違反したものに対しては、工場の設置認可の取消しまたは作業の一時停止を命ずることができ、その命令にも応じない者は、罰則をもうけることになっています。
 このように騒音について、公法上、厳格な規制があるので、公害課のほうに連絡をとり、一度音量を測定してもらったらよいでしょう。
 なお振動についても、前記騒音とあわせて、測定し、解決してもらったらよいでしょう。
 ただ、行政措置がすみやかに、かつ適格に行なわれればいいのですが、一般的にいえば、この行政措置がとられるまでには、時間もかかるので、やむを得ない場合には、裁判所に対して、騒音、振動の差止めの仮処分請求と、過去の精神的な苦痛に対する損害賠償請求をしたらよいと思われます。
 一般に騒音、振動にさらされると、睡眠妨害、不快感、気分のいらいら、頭痛、頭重、めまい、動悸、胃の不調、血圧上昇等の身体的悪影響が生じるとされており、Aさんの例も前のような場合にあたり、緊急を要することと思われるので裁判所に申請したほうが解決は早いかもしれません。

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