養豚の悪臭やハエの発生がひどいとき

 Bさんは古希を迎えた老人で昔から人一倍きれい好きでした。ところが、このきれい好きが、災いして日夜悩んでいます。それというのも、Bさんの裏に、五〇頭余も飼育する豚舎ができ、この豚舎から流れてくる臭いとその奇声がなんともがまんできないほど不快で、そのうえ、夏でもないのに飛んでくるハエのためです。
 住宅地に近い、このような豚舎は、なんとかならないものでしょうか。

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 一般的に、私たちが社会生活を営むうえで、多少の臭気、音響、震動その他いろいろな形での生活妨害は避けられないものです。したがって、これらの生活妨害がすべて違法となるわけではありません。これらが、不法行為となるためには、豚の悪臭や、奇声の流入、ハエの飛来などが相手方の故意、過失にもとづくものであり、かつ、これらが、社会生活上容認しえないもの、すなわち違法なものと評価され、その結果、損害が発生していなければならないことになります。
 そこで、まず故意、過失の問題ですが、Bさんがそこに居住するに至った時期と豚舎のできた時期の先後関係が、まず問題になります。つまり、Bさんが、豚舎ができたあとそこに居住するようになった場合には、特別に豚舎の管理が不良で被害が発生している場合等を除けば、Bさんの方で被害を受忍しなければならなくなります。
 つぎに、豚舎を作ったことが、その周辺の客観的な土地利用目的からはずれているか否かですが、付近周辺が養豚、養鶏等をやっているような農村地帯では、それを追及することはできません。
 そのつぎに、豚舎とBさんの家の位置関係、豚舎の施設の状況および管理状態が問題になります。豚の飼育に伴う、悪臭、奇声、ハエの発生等は、豚舎の位置を工夫したり、また施設の改善に注意を払ったり、また管理を十分にすれば、相当避けうるものと思われますが、五〇頭余の豚を飼育しているとすれば、営業のためのそれと思われ、相手方はおそらく、営利を追及するあまり、近隣に被害を与えることに対し、あまり考慮しなかったのではないかと思われます。
 その際の悪臭、奇声、ハエの飛来等の状況ですが、帽の飛来は、防虫網等で防ぎえても、悪臭や、奇声等は防ぐことができず、風向き位置関係、開口部の状況等によっては、相当な生活妨害になっているかと思われるので事情にもよりますが、いちおう、違法になりうると考えられます。
 つぎに、損害ですが、この場合、通常、精神的な苦痛に対する補償、つまり慰謝料の請求になるかと思われます。
 損害賠償の額の算定は、ハエの飛来、臭気等は季節、風向き、位置関係等によっても、その程度が相当異たってくると思われるので、その継続期間、あなたが、自宅に在宅している在宅時間、相手方に将来、豚舎を改善する意思があるかないか(将来の慰謝料)等によって、異なってくると思われます。しかし、いずれにしても、前に述べたような要因を総合的に検討し、決定するほかはありません。
 悪臭防止法の規制地域であれば、都道府県知事は、一定の基準以上の悪臭を出している事業所に対して施設の運用の改善、改良等の勧告をし、この勧告に従わないときは、改善命令を出すことになっています。

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